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高齢者の安全な靴選び 転倒→骨折を防ぐ (2/2ページ)
「背中を丸めて歩いてみると、脚が前に上がらないのがわかる。特に女性は筋力低下と骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で背中が丸まって“すり足歩行”になる」と話すのは同研究所非常勤研究員で婦人靴企画卸「シンエイ」商品研究室長の楠本彩乃さん(47)。楠本さんは安全な靴選びのために次の7要素をあげる。
(1)つま先が1・5〜3センチ反り上がった靴−「すり足だと、わずかな突起にもつまずく。つま先が反り上がっていれば、つっかからずに済む。靴のつま先に傷がある人は、つまずき歩きをしている証拠で危険信号」
(2)かかとのある靴。サンダル、バックバンド型はダメ−「足は28個の骨で構成され、かかとの骨が傾くと、ほかの骨もゆがみ、歩行が不安定になる。靴のかかとは心材入りで、手ではさんでも簡単につぶれないもの」
(3)ヒールは3センチ以下で一体型−「これ以上高いと筋力のない人はバランスを保てず、腰の負担も増す。独立ヒールは硬いプラスチック製で体の衝撃が大きく、突起に引っかかる危険もある。一体型はウレタンなどクッション性が高く、接地面も広く安定している」
(4)甲まで覆い、ひもやバンドで調節できる−「足に体重をかけると指が扇状に広がる。体重がかからないと足のサイズが23センチの人は指付け根の周径が1・5センチ細まる。この時もしっかり足を包んでいることが大切」
(5)つま先内部に1〜2・5センチの余裕(捨て寸)がある−「歩くと体重で土踏まずが落ち、足長が伸びるから」
(6)つま先は足形に合わせる−「人さし指が親指より長い人はラウンド(丸)形、親指から順に短くなる人はオブリーク(斜め)形を」
(7)重さは二の次−「高齢者は軽さだけで靴を選びがちだが、しっかり立ち、歩くには心材などの副資材が必要で、それだけ重くなるが、足に合っていれば重く感じない」
楠本さんは「シューフィッターなどがいる店で選びたい」と薦める。また「土踏まずが低下した人は中敷き(インソール)を入れると歩行が楽になる。既製品(1000〜2000円)もあるが、足裏は左右違うので個別調整のカスタムメードが理想的」とも。
日本橋三越本店や東武百貨店池袋本店などに展開する婦人靴・インソール「TARSUS(タルサス)」では、男女とも1足分5000〜7000円でインソールを個別調整して装着している。