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硫化水素、中2理科で発生実験…自殺相次ぎ教育現場を直撃

 4月23日に女子中学生(14)が硫化水素で自殺した高知県香南市の教育委員会は、連休明けの7日に、硫化水素対策についての委員会を開くことを決めた。ガス発生の材料となる洗浄剤は、トイレ清掃用として小・中学校に常備され、中学2年の教科書には硫化水素が発生する実験が紹介されているなど、学校現場は硫化水素と背中合わせ。「どこまで教えるべきか」という議論は全国の教育現場を悩ませている。

 自宅玄関ドアに「ガス発生中」の張り紙を残し14歳の女子生徒が自らの命を絶ったのは4月23日。通っていた中学校がある香南市の教育委員会は、この悲報を受け、市内の全小中学校に「トイレ洗浄剤」の適切な保管を指示。家庭にも学校を通じて取り扱いへの注意を促した。

 トイレ掃除を生徒が行っている学校では、教員に許可なく洗浄剤を持ち出せないように、用具入れに鍵の取り付けを検討しているところもあるという。しかし教育関係者を悩ませているのは洗浄剤という“ハード”の管理だけではない。

 実は中学理科の教科書には、硫化水素の発生に関連する実験が記載されている。2年の2学期で学習する「物質の化合」の単元。複数の教科書が硫化水素を発生させる過程がある実験をイラスト付きで紹介している。実験そのものは何十年も前から行われているスタンダードなもので、注意を守れば安全だという。

 各教科書とも「換気を十分に」「深く吸い込まない」「発生する気体は有毒」などリスクをきちんと説明。厳重に注意を呼び掛けている。香南市立赤岡中では例年通りなら2年生が11月から12月ごろに、教科書に沿ってこの実験を行うという。宮地憲一校長は「人体に危険なことを知識として学んでもらう必要があるが、自殺が相次いでいる中で、どこまで教えるべきなのか、どう教えればいいのか分からない」と悩む。

 同中学が採用している大日本図書では「この実験は、あくまでも硫化鉄を作る実験です。その性質を調べるために、塩酸を加え、においがするかどうかを確かめます」と話し、塩酸を加えたときに発生するにおいのある物質が硫化水素であることは、脚注で紹介しているに過ぎないという。だが、好奇心の強い年代にとってはやはり“硫化水素の作り方”になってしまう恐れもある。

 同市教育委員会は「教科書に掲載されている以上、教えないわけにもいかない。授業を受ける前に生徒が教科書を見て実験してしまうことがあるかもしれない。具体的な対策を連休明けの委員会で検討したい」と話している。

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(2008年5月1日06時01分  スポーツ報知)

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