「見せる法廷」遺体写真も 裁判員制度へ福岡地検が試行2008年05月01日03時03分 福岡地裁で30日に開かれた殺人事件の初公判で、検察側が事件直後の現場や遺体、致命傷になった傷口などの証拠写真を、プロジェクターで法廷に大写しにした。来春始まる裁判員制度を見据えた「見せる法廷」の取り組み。制度開始に向け、さらに証拠の示し方などを検討するという。 殺人罪などに問われた福岡市東区、無職木下和美被告(36)の初公判。起訴状によると、昨年9月10日、別れ話を切り出されたことに腹を立て、自宅で寝ていた元交際相手の男性(当時34)の首を出刃包丁で切りつけて失血死させたとされる。 検察側は傍聴席に向けたモニターに、大量に出血して倒れた男性の遺体や首の傷口、血痕の写真などを次々に映写。犯行状況を詳しく再現した。論告では、現場状況を「血の海」と表現し、「残忍極まりない犯行」として懲役14年を求刑した。 傍聴した男性の父親は公判で「(写真を)目を開けて見られなかった」と意見陳述した。地検からは事前に、写真の使用の是非などについて意見を聞かれていたといい、公判後の取材に「事件の悲惨さ、犯行の悪質さをよく伝えてくれた」と評価した。 福岡地検は「裁判員は事実認定だけでなく、量刑判断も担う。起訴状の『刃物で切りつけた』との文言だけでは伝わらない悲惨な実態を伝えようとした。今後も、どの証拠をどの程度まで示すか検討を重ねたい」と話している。 法廷取材を続ける作家の佐木隆三さんは「裁判員に強い印象を残す点で検察側には有効な手法だろう。厳罰化への懸念など、裁判員への影響を考え、証拠として写真を示すことに慎重な意見もあるが、裁判官と裁判員は対等な立場で評議すべきだ。見るに堪えないものも見ることが、裁くことの重みだ」と話した。 PR情報この記事の関連情報社会
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