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分娩2病院休止 両毛6市救急もパンク寸前

2008年04月25日

 医師不足による診療の休止など、地域医療の厳しい現実が、両毛6市(桐生、太田、館林、みどり、栃木県足利、佐野)でつくる「両毛地区市長会」の調査であらためて浮き彫りになった。同会では近く、広域的な医療連携の手法を探る調査研究会を発足させる。

 調査は、2月の同会定例会で、地域医療の問題が取り上げられたことから6市がそれぞれ行い、今月16日の臨時会で報告された。

 それによると、医師不足による影響はいぜんとして深刻で=表=、館林厚生病院では19科のうち2科が休診中のほか、分娩(ぶん・べん)も休止。東毛地区では、富士重工業健康保険組合総合太田病院も分娩を休止しており、地区の周産期医療体制は危機的な状況を呈している。この結果、桐生厚生総合病院の産婦人科に患者が集中する傾向も出ている。

 各病院間の患者の相互受け入れは、救急時などについてはすでに県境を越えて広がっている。館林厚生病院では07年度、救急搬送された患者1万1747人のうち、館林市と邑楽郡5町以外からの患者が約1割に達した。

 ただし、救急患者の受け入れはどこも飽和状態に近い。たとえば、足利市の場合、98年には10あった救急指定病院が、現在は五つだけと収容力は半減。半面、救急出動件数は1・6倍の5500件超にのぼる。東毛地区のある救急指定病院の医師は「当直医は本来、入院患者に対応する要員。救急患者にまでなかなか手が回らない」と語る。

 こうした厳しい現状を受けて、市長会は、各市の医療行政担当課長をメンバーとする「両毛広域医療連携調査研究会」を5月中にも設立する。

 幹事市として設立を提案した館林市の安楽岡一雄市長は「お互いの役割や持ち味を生かしあって連携を図りたい。地域の医療サービスを低下させないため、どんな方法があるのか探っていきたい」と話す。(戸梶雄一)

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