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5月1日のながさきニュース
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長崎新聞
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諫干排水門の常時開門と損賠請求 小長井、太良の漁民41人が国を提訴
諫早湾の漁場環境が悪化したのは、国営諫早湾干拓事業が原因として、諫早市小長井町と佐賀県太良町大浦の漁業者四十一人が三十日、国を相手に潮受け堤防排水門の常時開門と、約二億五千万円の損害賠償を求める訴訟を長崎地裁に起こした。国から漁業補償を受けてきた湾内の漁業者が、同事業をめぐって提訴するのは初めて。
原告団は十五年連続でタイラギの休漁が続いたり、赤潮の発生頻度が増えたのは事業が原因と指摘。開門が「有明海再生に不可欠」と訴える。
国が漁業者と漁業補償契約を結ぶ前提として、「漁獲減は二割ほど」などと説明した点を「虚偽」と批判。事業着工直後から、多大な営業損害を被ったとし、原告一人当たり約六百万円を損害賠償の一部として求めている。原告団長でタイラギ漁業者でつくる新泉水海潜水器組合の松永秀則組合長(54)は「国の思惑にまんまと引っかかってきた。海を元に戻すには開門が必要。裁判で決着をつける」と述べた。
ただ、原告団によると、「事業推進派」ともみられてきた両町の漁協内部からは提訴断念を求める声も上がり、原告数が予定の五十五人から減った。松永組合長は「有明海再生という漁民の思いは一緒。いつか分かってくれる」と述べた。
小長井町漁協の新宮隆喜組合長は「水産振興と漁場回復に関して、組合がまとまって国側と交渉するというのが十五年前からの組合員の総意。(原告は)組合員である以上、総意に従うべきで非常に心外だ」と話した。
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