「♪俺らの産科医 とうとう潰れちまった」
「♪どうしたんだ Hey Hey Baby!スケジュールはビンビンだぜ!」
「♪いつものように辞めて 逃散しようぜ」
「♪そりゃあひどい断り方 した事もあった」
「♪だけどそんな時にも 俺らはカイザー」
「♪どうしたいんだ Hey Hey Baby!記事を直してくれよ」
「♪いつものように辞めて 逃散しようぜ」
「♪Oh どうぞ勝手に書いてくれ 崩壊まで」
「♪Woo...いつまで続くのか 見せてもらうさ」
「♪こんな夜に 帰宅できないなんて」
「♪こんな夜に 仮眠できないなんて〜〜」
「RCサクセションの「雨上がりの夜空に」のパロディか?なつかしいな。」
「作者的には結構ノリノリで考えたんだけど、まったく反響がなかったから、メソメソしながらここに流用したってわけなのよ〜どうかしら?」
「まあこの出来なら、反響がなかったのもしょうがないんじゃないか?」
「元の歌は楽しいんだけどね〜まぁマクラとして利用できただけ良しとしときましょうか。と言うわけで第2回よ〜」
「そうだな・・・じゃあ本題に入るか。今回は、医師不足について解説するぞ。」
「医師不足?それが、前回のヒキにあった福島県立大野病院事件に繋がるわけ?」
「・・・ここで白状しておくが、今回は大野病院事件の事は取り上げない。」
「はあ?前回予告しちゃったのはどうしてくれるわけ?」
「医師不足のことを途中まで書いただけで、前回のテキストの長さを軽く越えちゃったんだよ。まあ次回には間違いなく追いつくだろう。」
「どーも信頼できないわね〜」
「まあいい、話を進めるぞ。前回の話は覚えてるか?」
「優れていた日本医療システムがほとんど崩壊中で、代わりになりそうなアメリカ型やイギリス型がかなり問題あるシステムだって話よね。」
「そう。日本型医療システムは高クオリティ、高アクセス、低コストのバランスが取れた理想的なシステムだった。それに対してアメリカ型は超高コスト、イギリス型は超低アクセスだって話だ。」
「けどいわれてみれば不思議よね。アメリカとかイギリスとかでも医療システムの問題は分かりきってて、日本型って言うお手本もあるのに、なんでこちらを真似しないのかしら?」
「それは単純な話で、誰も真似できないからだ。
そもそも、高クオリティ・高アクセス・低コストのバランスが取れたシステムってなんだかおかしくないか?」
「へっ?おかしい?」
「だってそうだろう。クオリティを高めようとすればコストがかかる。患者なら誰でも専門医のところに行ける様なアクセス体制を作ればやっぱりコストはかかる。コストを抑えようとすればどちらかを犠牲にしなくちゃいけない。当たり前の話だろ?ある意味、日本型医療システムってのは矛盾の産物なんだよ。」
「言われてみればそうよね〜。だったらそんなシステム、どうやって成立してたの?」
「この矛盾を解決する方法が一つだけあったんだ。それは、現場の医師や看護士たちを少なくして、そのぶん労働基準法を無視して長時間死ぬほど働きまくらせる事だ。」
「日本の医師って少ないのね。」
「そう。日本人の人件費は相当に高いからな、人数を減らせば医療費が大幅に減らせる事は目に見えている。というわけで政府は、「このままでは、将来医師が余ってしまう」と言って医師を減らす政策を採った。」
「現在はもちろんだが過去においても、いまだかつて国内に充分な数の医師がいたことはない。全世界各国の歴史上においても同じだが。」
「けど医師の数って、医学部の定員を減らして調節してたのね。」
「つい最近になって、政府や自治体もやっと医師不足を感じ始めたらしくて、医学部の定員を増やした大学もあるようだ。
が、今定員を増やしても、そいつらが一人前の医師に育つまでは10年かかる。増やすに越したことは無いが、今さら間に合わないだろうな。」
「しっかし、つい最近になってやっとねえ。これだけ医師が不足してるってデータがあるのに、政府は何考えてんの?」
「そもそもほんの最近まで、政府は公式には、医師は不足してないという見解だったんだ。問題は不足ではなくて偏在、つまり地域ごとに偏ってたことが問題だという。」
「さっきから2回くらい繰り返してるけど・・・ほんの最近までって?」
「あの「産む機械」発言で話題になった柳沢厚労相は偏在だとか言ってたなぁ。舛添になってから、絶対的な不足という認識に改めたようだ。」
「ほ、ほんとについ最近じゃない・・・で、偏ってたの?」
「もちろんそんなことは無い・・・」
「上位でも全然足りてないじゃん。下位なんか悲惨の一言ね。」
「医師数が偏在だというなら、「足りてない」「すごく足りてない」「問題外に足りてない」の3択なんだよ。
それと、こんなのもある。2007年03月06日、国会での参議院予算委員会で行われた、共産党の小池晃議員の質疑応答だ。」
柳沢大臣
「 ま〜あの〜今委員はですね〜あの〜OECDの、OECDの例をですね、これを基準としてものをおっしゃっているわけですけれども、私どもとしては日本の国内の状況について観察してそういうことを申し上げております。ですから、例えばある県においてですね、これをいくつかのこの医療圏に分ける、え〜あるいは第三次医療圏に分けてみるとゆうようなことをした場合もですね、そこで非常にそれに、お医者さんが非常に厚くいらっしゃる所と薄くいらっしゃる所がある、これは事実でありまして、このことをあの、そういうことをわれわれは観察した結果、今申したような偏在ということを申しあげているというのでございます。」
小池晃
「厚く居る都道府県っていったい何県ですか?言ってください。
」
柳沢大臣
「 あるう〜もちろん基本的にですね西高東低といった徳島なんかが、今委員も言っておるとおりですとも、私どもはですね各県の中でも非常に厚いところと薄いところがある、そういうようなことで地域的な偏在がある!ということを申し上げているというわけでございます。」
「この質疑応答の模様は、医師のブログとして有名な「勤務医 開業つれづれ日記」http://ameblo.jp/med/(現在はここhttp://med2008.blog40.fc2.com/に移転)の二つのエントリhttp://ameblo.jp/med/entry-10027348772.html、http://ameblo.jp/med/entry-10027419160.htmlのコメント欄で、読者さんが文字起こししたもので、非常に面白いから読むといいぞ。他の部分にも重大発言があるんだが、そっちは次回以降に扱う予定だ。
で本題に戻るが、つまり厚生労働省は医師の偏在が問題だといっていながら、どこにどう偏在しているのか、大臣すら分かっていなかった・・・」
「もしかして、医師が全国にどれほどいるかも分かってないんじゃないの?」
「実はその通りだ。」
「えっ!?冗談のつもりだったんだけど!」
「これを見てくれ。2007年4月1日から厚生労働省のウェブページ上で稼動した、医師等資格確認検索だ。これは、現在厚生労働省のデータ上に登録されている医師を確認することができる。」
http://licenseif.mhlw.go.jp/search/top.jsp
「なるほど。あのタレントさん、れっきとした医師だったのね。ところでこれがどうかした?」
「このシステムの稼動前は、医師の個人情報を軽々しく公開するのか?などの批判があった。しかしふたを開けてみてビックリ、そんなこと全然関係ねぇと言うほど大きな問題があったんだ。これを見ろ。」
「い、石井四郎!?ってもしかして・・・」
「世界史コンテンツを読んでいる読者なら知っているかもしれないな。旧帝国陸軍731部隊の創設者、石井四郎中将殿だ!」
( ゜ Д゜) ・・・
_, ._
( ´ Д⊂ コ゛シコ゛シ
_, ._
( ゜ Д゜) ・・・
(つд⊂)コ゛シコ゛シ
( д) ゜ ゜
(つд⊂)コ゛シコ゛シ
_, ._
(;゜ Д゜) …?!?!?!?!?!?!?!?!
「とっくに死んでるじゃないの!」
「まあ石井四郎はもっとも極端な例だが、医師たちが自身が持ってる名簿で過去に亡くなった先輩を検索してみたら、かなりの割合でヒットしたらしいぞ。」
「どーゆーデータベース使ってんのよ・・・これって現役の医師を検索する為のシステムじゃないの?」
「どうも、医師が亡くなった際は医師資格の取り消しを申請しないといけないようだが、ま、遺族がそんなこと知らないのかめんどうくさいのか、手続きしない人が多いらしいんだな。しなくても実害もないだろうし。」
「んで、データベースにこんな荒いデータを使ってるって事は・・・」
「うむ。厚生労働省は実際のところ、全国にどれだけの医師が存在しているかを把握してない可能性が非常に高い。もしももっと精度の高いデータを持っているとすれば、そっちを使えばよかっただけの話だし、実際に使っただろうしな。」
「もしかして厚労省の言う医師の偏在ってのは、あの世に偏ってるって事なんじゃないの?」
「ありえるな・・・実際にこのシステムがあんまりなんで、公開された日時にちなんで「これはきっと、厚生労働省の4月バカジョークに違いない」と言う人もいたくらいだ。」
「そう思いたくなるのも無理はないわね・・・しかし知れば知るほど「医師は足りてる」って厚労省が強弁してた事に無理を感じるんだけど?」
「それは官僚たちの巧みなソロバンだ。まったく見事に「医師は足りてる」データを作り上げてるぞ。」
「言うんだろ・・・死んでも現役にしてるくらいだしな。女性医師も、妊娠・出産中でも一人前の労働力として計算してる事も分かる。」
「なんか、老人医師とか、男性と変わらないほど働く女性医師もいるからって理由で、労働力として数えてるっていう風に読めるんだけど・・・普通に考えて、それって現場は老人や女性も駆り出してやりくりしてるくらい逼迫してる、ってことを示してるんじゃないの?」
「俺もそう思う。別にジェンダー問題を語るつもりはないが、それでもこの推定方法は無茶だと思うぞ。」
「普通に計算したら医師が足りなくなって、「じゃあ、女性の0.7を1にすれば4割り増しじゃね?老人の定年もなくせばもっと増えるだろ」「お前マジ頭いいな」って感じだったのかしら。」
「どこの職場でもこんな無茶な計算はしない・・・そもそも医師に当てはめられてる1人前の仕事ってのは半端じゃないぞ。最初のほうで「労働基準法を無視して長時間死ぬほど働きまくらせる」って言ったが、死ぬほどってのは比喩表現じゃないぞ。」
「サービス残業は普通の企業でも割りと当たり前の事だが、医師の労働はそんなものを超越している。週80時間を越える労働ってのは、普通は過労死が危惧されるほどの労働時間なんだ。しかもそんな医師は山ほどいて、決して珍しくない・・・」
「そうはいっても、労働基準法無視の職場ってのはほかにもあるじゃない。医師だけがひどいわけじゃないでしょ?」
「・・・そういうことを言う人は本当に多い。けど、色々事情が異なると思うぞ。
例えば、ほかの職場では人は死ぬか?病院では死は日常的なものだ。他人の命を預かる職場として、そこに必要な集中力や精神的な負担はほかの仕事の比じゃない。」
「それはそうだけど・・・重い責任がある仕事なら、逆に労働基準法なんかにこだわらずに頑張って欲しいじゃない?」
「・・・単純に聞くが、ルクスが急病で病院に行った時、診察を担当した医師が30時間寝てなかったりしてもいいか?」
「それは絶対イヤよ!」
「過度の疲労は当然誤診も招く。そんな状態でも世界最高クラスといわれるクオリティを維持しているあたり、日本の医師たちは超人としか思えないな。医師にゆとりのある労働環境で診療してもらうのは、患者のためでもあるんだ。」
「まあ、万全の体調で治療して欲しいのは確かね。」
「それにそもそも、仮に他人が死ぬほど頑張っているからと言って、自分も死ぬほど頑張らなくてはいけないなんて決まりはないだろう。先日も、「医師に労働基準法はそぐわない」なんてぬかしたヤツがいたが・・・」
「この久坂部羊と言う人物が医師免許を持ってるのは確かだがな。しかしこの本人はとっくの昔に現場を引退してて、今は作家メインで医師としては単なるパートタイマーの嘱託医だ。こんなことを書くならまずお前が現場に復帰しろ!」
「確かに、そんな人には言われたくない言葉よね。」
「もちろんこの文章は全国の医師たちから猛烈にバッシングされた。そもそも労働基準法を守る事は、労働者なら当然に与えられた権利、と言うか義務だろう。さらに言うなら、責任を問われるべきは労働基準法を守ると大混乱してしまうような医療環境にした政府や自治体、病院経営者だ。末端で働く医師たちに物事を押し付けてもしょうがないだろう。」
「労基法を守るのが贅沢とかいわれてもね。ていうか医師たちもよくこれだけ働いてるわね。私だったら絶対無理だわ〜」
「医師たちがこれだけ働けていた理由はいろいろあるんだろうが、単純化して言うと、心意気と根性だ。」
「なんかいきなり少年マンガっぽいスローガンね〜。突然つまんないギャグなんか入れなくてもいいわよ。」
「いや、本当だ。医療現場は根性論で保ってたんだよ。それは今の医療が崩壊してる原因を細かく見ていくと分かる。」
「どういうことかしら?」
「医療崩壊の原因と言われるものはいろいろある。過重労働、政策の失敗、マスコミ報道、トンデモ医療訴訟、モンスターペイシェントの増加・・・これらは全て、医師たちの心意気をへし折った点で共通しているんだ。気分よく働ける環境なら激務でもこなせると言う医師は今でも結構多い。」
「戦ってな、士気でやるもんだ。ヴィナン・ガルーが上手かったのは策略じゃない・・・そこさ。」
「いきなり海皇紀かよ・・・まあそんなとこだが。」
「なるほど見えてきたわ・・・で、医師たちの心を決定的に折ったのが、前回PONRって紹介された福島県立大野病院事件って事?」
「おお、鋭いじゃないか。その通りだ。
と言うわけで次回は大野病院事件とトンデモ医療訴訟について説明しよう。こちらの方のネタは山ほどあるぞ。」
「書ければいいわね・・・」
「ブログの方に一件でも反響があれば書く!と作者は言っていた。」
「一件もない可能性はかなりありそうだけど〜。実際には、もうちょっと反応があるかなと思ってたらしいし。」
「舞台裏を言うな・・・」
「まあ、次に続く事を祈ってるわ。じゃあ、ちゃお〜」
ヴォルフ・フォン・シュナイダー
ルクス・F・フランクリン