☆医療問題を注視しる!その0 はじめに☆


 「いきなりだが第0回だ。」

 「本編は第3をアップしたとこでしょ?何でこのタイミング・・・」

 「いや、本当は最後に締めに書こうと思ってた重要なことがあるんだが、長く続く恐れが出てきたからな・・・第0ってことにして追加する。」

 「まあいいけど・・・。言っとくけど、第0回は超マジメよ。」

 「うむ。このテキストでは医療問題について解説していくが、作者は基本的には医療体制が崩壊して欲しくないと思っている。できれば復活して欲しいと考えてる。大部分の医師たちも同じだと思う。」

 「そう。けどここですごく大事なことがあるんだけど、今の医療システムが崩壊しても、医師たちはほとんど困らないのよ。

 「第1回以降の本編では、医師が働きすぎだとか給料が安すぎだとかハイリスク過ぎるとかいうことを書いていく。医療問題に関心のある医師たちも同じようなことを書いてきた。しかしそれを受けて答えた一部のマスコミや評論家、普通の人たちの反応は・・・」

 「医者たちが、もっと楽して儲けたいがために勝手なことを言ってんじゃないのか!?ってなものだったのよ。」

 「はっきり言って、医療体制なんか崩壊しちまってアメリカ型やイギリス型のシステムになっちまったほうが医師たちの給料も休みも増える。激務も緩和される。実際には医療崩壊したほうが医師には有利なんだ。」

 「医師の中には、むしろさっさと崩壊させちゃったほうがいいんじゃないか?といってわざと崩壊を煽るようなことを言う人もいるわ。IYC(嫌なら辞めろ委員会)ってのもある。」

 「けど多数の医師たちは、なんとか崩壊を食い止めようと情報発信をしてきた・・・医療崩壊で決定的に困るのは、患者たちなのにだ。なぜなら基本的に、大多数の医師はやはり患者を助けたくて医療に携わってるからなんだ。」

 「車にはねられて救急車で病院に運ばれても6時間待たされたり、今すぐ500万円用意できなきゃ退院してもらうわと迫られたり・・・このままだと冗談じゃなく、こんな未来はすぐそこに来てるのよ。」

 「現在、本編は第3回まで進んだ。今後もいくつかのポイントをピックアップしながら解説を進めていくが、医療崩壊の原因としてあげた件を全て突き詰めると、実は一つのシンプルなものに行き当たる。」

 「今の医師たちはものすごーく頑張ってるのに、そんな人たちに「もっと頑張れよ」と言っちゃった。全ての医療問題の本質は実はここなのよ。」

 「うつ病の人に「頑張れ」と言うのは最大級のタブーだと知っている人もいるだろう。頑張れなんて励ましちまったらうつ病患者は自殺することがある。」

 「同じように、特にマスコミたちは、医師たちがどれほど頑張ってるのか知りもしないで、もっと働けとか給料もらいすぎだとか非難したのよ。」

 「政府にしても同じ。ぎりぎりまで頑張っていたのに、これだけできるならもっと頑張れるだろう、命を預かる責任の重い仕事なんだから給料が安くてもいいだろう、なんて勝手なことを言ってどんどん医師たちを追い込んで行ったんだ。」

 「で、堪忍袋も限界に来ちゃったってワケなの。」

 「医師たちを痛めつけたのは誰でもない、実は我々自身だ。マスコミに踊らされた部分もあるとはいえ、患者の態度も目に余るものが多くなってきた。となるとそれを何とかするのに、医師たちにだけ期待しても駄目だ。」

 「私たち、患者側でも出来ることはあると思うの。それはこの問題を理解して、医師たちを尊重すること。変に高く持ち上げろとは言わないわ。」

 「医療訴訟を見ていると、患者の権利ってのは絶対不可侵な、非常に尊いものとして扱われていることがわかる。しかし同時に、医師たちにも尊重される権利はあるはずだ。その事をわきまえていれば、きっと協力してくれる医療者もいる。」

 「例えば医師だって夜は寝たいし、自宅でお酒も飲みたい。家族と過ごせる休日も欲しいし、たまにはどこか遠くへ旅行にも行きたい。こんなことは人間として当たり前の欲求だけど、でも多くの医師はこれらのこともまるでできないほど酷使されてるの。」

 「医師を尊重する心を持ってれば、例えば夜中の2時にいきなり病院に押しかけて、子供の熱が37度に上がった、すぐ小児科医を呼び出してくれ、なんて要求は傍若無人と気づくはずだ。行楽地で子供と笑顔で楽しんでる姿を見て、重態の患者を抱えてるのになんとのんきな・・・なんて事は言えないはずだ。しかしこれらのような態度はもうまるで珍しくなくなってしまった。はっきりいって異常事態だ。」

 「実際のところ、日本全体の医療をまた従来のように戻すなんて絶対不可能。もう引き返せないところまで崩壊は進んじゃったの。だけど自分が患者として良識ある態度をとって、周囲にも気を配っていれば、もしかしたら自分の地元の病院は生き残ってくれるかもしれない。」

 「日本全体の医療をどうにかしようなんて思わなくてもいい。それは無理な相談だ。しかし自分の行きつけの病院やかかりつけの医師を守ろうと考えてみないか?」

 「作者としては、もしかしたらそのくらいのことなら出来るかも知れないと思ってるのね。そのために、医療業界を少しでも理解してもらおうとこんなテキストを作ってるってワケで。」

 「患者と医師の間にある壁はかなり大きい。が、壁を崩す努力は、医師の方からはかなりやってるんだ。患者の側からも叩けば、壁は薄くなるかもしれん。」

 「と言うわけで次からは本編よ〜。よろしくね。」

第1回へ→





作者のブログ→
アクセス解析