茅野市の組合立諏訪中央病院の浜口実院長と吉沢徹統括診療部長は4月30日、同院で記者会見を開き、6月から産婦人科を再開して、取りやめていた分娩(ぶんべん)を受け入れることを正式に発表した。同院によると「総合病院の規模で休止後に分娩を再開するのは珍しいケースでは」という。
6月から産婦人科常勤医として着任するのは、上田市立産院前院長の甲藤一男医師(57)。これにより、諏訪中央病院で内科医として勤めていた統括診療部長の吉沢医師(46)との産婦人科医常勤2人態勢が整う。併せて非常勤の2人の医師が外来や夜間分娩などを手伝う。助産婦は休止前と同じ8人。
分娩手術の場合によっては、他病院へ搬送することもあるが「バイパスの役割は果たせる。安全で確実な体制を取りたい」とした。
同院では昨年4月から、産科医不足で分娩に関する医療を休止しているが、再開のめどがたったことから「病院への問い合わせは多かった」(同院)という。6月再開に向け分娩の予約を5月から開始する。今後の受け入れ件数は以前同様に、年間300−330件をめどにしている。
浜口院長は再開に当たり、諏訪地方の分娩の状況について「形だけは(医師が)足りている状況だが、決して安心できない。他地域からの流入もある」とし、地域の総合病院として産科の役割の必要性を指摘して「病院としても喜んでいる」と述べた。
吉沢統括診療部長は以前、信大医学部付属病院産婦人科に勤めた経験がある。現在は「産婦人科の外来や入院、分娩などについて再研修中。地域の中に産科医を切望する声があり、自分に最大限果たせることは何かを考えた」と、内科から産婦人科に移る決意を話した。