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ガソリン狂騒再び 今度は「値上げ」で現場混乱

2008年05月01日01時39分

 ガソリンの値段が上がり始めた。各地のスタンドでは4月30日、安いうちにガソリンを入れようと、車の長い列ができ、ガス欠を起こす店が次々に現れた。5月1日に日付が変わると、早々と値上げに踏み切る店も登場。多くの人たちが、「暫定税率」に振り回された。

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ガソリンの在庫が切れ、一時休業した24時間営業のガソリンスタンド=30日午後9時2分、千葉県習志野市、上田幸一撮影

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日付が変わり、1リットル124円だったレギュラーガソリンを157円に値上げしたスタンド=1日午前0時3分、東京都世田谷区、橋本弦撮影

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ガソリンの在庫がなくなり、121円の看板を見て行列を作った人たちに事情を説明するスタンドの従業員=30日午後11時55分、千葉市花見川区、上田幸一撮影

 5月1日午前0時、さいたま市西区の国道17号新大宮バイパス沿いのスタンドは日付が変わると同時に、レギュラーガソリンの値段を1リットル155円、ハイオクガソリンを166円に、30円ずつ上げた。

 アルバイト店員が、店先の3カ所に掲げた価格表のボードの数字を手作業で張り替えた。その直後、何台かの車がガソリンを入れに来たが、店員から値上げを説明されると、給油せずに立ち去った。

 約1時間前にレギュラーガソリンの在庫が切れ、ハイオクのみの営業にしていた。

 同市の会社員の女性(34)は車で20分かけてこのスタンドまで来て、ハイオクを給油。仕事から帰宅後、なじみの店に行くとレギュラーは売り切れで、別の店も長蛇の列であきらめた。「ガソリンが1カ月間で値上げしたことより、政治のせいで深夜までガソリンのことで振り回されたことに腹が立ちます」

 一方、約300メートル離れた別の店は日付が変わる直前、店頭に表示した値段の看板を取った。「周りの店の動きを見極めてから、価格を決めます」と話していた。

 東京都八王子市内のセルフ式スタンドでは30日午後11時ごろ、レギュラーガソリンが底を突いた。しかし、給油待ちの車の列は約200メートル。50分近く待った客を断り切れず、ハイオクを、レギュラーの値段に下げて売った。差額の1リットルあたり10円が、そのまま赤字となった。

 4月1日に暫定税率が廃止されたときは、損を覚悟で値下げした。今回は、1日午前2時ごろのタンクローリー到着を待って1リットル30円を上乗せするつもりという。

 「客の切れ間を判断して値上げするように」と本部からの通知も来ているが、いつ途切れるのか見通しが立たない。男性店長(38)は「明け方まで値上げできないのでは。この1カ月は赤字覚悟で、店に良いことなんて何もなかった」と言った。

 静岡市駿河区で24時間営業しているセルフ式スタンドは、「混乱防止」などのために30日午後11時過ぎにいったん店を閉め、1日午前1時過ぎ、レギュラー125円の看板を159円に値上げして、営業を再開した。

 30日午後6時半、川崎市多摩区のガソリンスタンドに1台のタンクローリーが着いた。予定より2時間遅れた。タンクローリーの運転手(45)によると、給油待ちの車による「ガソリンスタンド渋滞」に巻き込まれたという。「ガソリンが足りなくなりそうな店を最優先に回っているけれど、どの店もいっぱいいっぱいの状態。1分1秒無駄にできない」と話した。

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