「猿は木から落ちても猿だが、政治家が選挙に落ちたら、ただの人」と言った人がいた。政治家らしい政治家がいたころの昔話である 猿に木の実を与えるのに「朝に三つ、晩に四つ」と言ったら猿が怒ったので「朝に四つ、晩に三つ」と言い換えたら納得したという。サル知恵を笑う朝三暮四の故事だが、明日の千円よりも今の百円がほしい人間の心理を皮肉っていて、ガソリン問題に似てなくもない 石油は安い方がいい。翌日から値上げとなれば列も作る。だからと言って税収不足で起きる将来の不利益など知ったことかと皆が思っているわけではない。国民は今流行のおバカさんキャラばかりではない。が、理屈だけで腹はふくれない 比較できないもの二つを並べて、どっちか一つ選べと迫るような政治状況である。有権者を愚弄するに等しい。そんな議員は選挙で落とせばいいのだが、今は「ただの人」がやたらと政治家になる時代だから、ただの人が入れ替わるだけで空しくもある 国民は身の丈に合った政治しか持てないと言う。投げたブーメランが戻って来て頭を直撃しそうな危機である。
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