俵の解説（歴史修正主義者の動向）

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• 「つくる会」理事会：伊藤隆・大月隆寛・坂本多加雄・高橋史朗・中島修三（弁護士）・濤川栄太（副会長）・西尾幹二（会長）・西部邁・芳賀徹（国際日本文化研究センター教授）・藤岡信勝（副会長）（以上10名）。98.2.16の理事会で濤川が新たに副会長（藤岡はそのまま副会長）に、大月が事務局長に就任した。98.8の総会で高森明勅が理事に就任、98.10の理事会で大月を解任して高森が事務局長に就任。99.3、田中英道（東北大学教授）、種子島経（フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン特別顧問）が理事に就任。

• 「つくる会」が97.10.27に出した「正会員の方へのお知らせとお願い」によると、彼らがつくる中学歴史教科書の採択（99年７月）に向けて、�@賛同者の拡大、�A地方組織の結成、�B教育委員会委員のプライベート情報・思想調査などを指示している。また、会の運営の中枢に冨澤繁信元住友信託銀行常務取締役や有田正作カメダデンキ前会長などが参加し、それぞれ組織委員長、組織委員の役職に付いている。会員数は、98.6.30現在、正会員（年会費12000円）426名、会員（同6000円）6378名、法人会員（30万円）４、顧問会員（10万円）10名、会員総数6818名、賛同者256名。

• 「つくる会」がつくる中学校教科書の発行者が決まった。これは同会が会員に97.12.10頃に出したハガキで知らせたもので、発行＝産経新聞社、発売＝扶桑社である。ハガキによると「版元決定に至までには、ここ数カ月、さまざまな紆余曲折と非常な苦労がありました。やはりこの教科書をめぐる問題は、出版界にも影を落としているようです」とあり、いくつかの出版社に交渉して断られたことがうかがえる。なお、同会は中学校歴史教科書だけでなく、公民教科書も発行するとしている。中学歴史教科書は坂本多加雄、パイロット版の『国民の歴史』（仮題）は西尾幹二がそれぞれ責任執筆にあたる。歴史教科書のコーディネータは藤岡。『国民の歴史』は、「国民が常識として共有すべき最小限の歴史知識」「国民のスタンダードな歴史、『一家に一冊』の歴史書」（藤岡）だと主張。検定と採択対策の為に、これを200万冊の大ベストセラーにする、予約と書店で各100万冊販売すると意気込んでいる。「つくる会」会報『史』３月号の濤川報告によると、濤川本人と思われる「人材育成塾」が５万冊、会社社長（２人）と団体役員（２人）が各１万冊を注文したのをはじめ、会社役員や団体役員が5000〜7500冊注文するなど、財界や右派団体を中心に98.6.30現在で20万冊超の予約があるとのこと（『産経』98.7.5）。彼らが開催する講演会などでは予約注文を受ける為のチラシが配布され、予約活動が大々的に取り組まれている。『産経』98.9.21によると予約は23万部を超えた。会報『史』によると99.1.30現在予約は26万部。

• 「つくる会」は98.6.7に大阪・中之島公会堂で「新しい教科書づくりの展望―私たちの仕事はどこまで来たかー」と題して第４回シンポジウムを開催する。これまでのシンポでは往復はがきで申し込んだ人しか参加できなかったが、今回は、入場料を3000円にして、参加券をプレイガイドで販売している。6.8の『産経』は参加者1700人と報道したが、小林よしのりは『SAPIO』98.7.8号に「当日は超大入り満員！産経新聞では消防法の規定もあって、1700人と書いてもらったが、実はこっそりいうとン百人オーバーしていて、２階席もぎっしり、１階の両側には毛布しいて座ってもらってるような状態で、すごい熱気なのである」と書いている。

• 小林よしのりは、上杉聰が小林を批判して出版した『脱ゴーマニズム宣言』が著作権などを侵害しているとして、97.12.25上杉と版元・東方出版今東社長に対して、51,400,000円の損害賠償と出版発行販売の禁止を求める請求を東京地裁に提訴した。「脱ゴー宣裁判」とよばれ、98.2.27に第1回公判が行われた。上杉を支援する人たちは「脱ゴー宣裁判を楽しむ会」を発足させた。インターネットのホームページ「週刊言志人」で、元「慰安婦」を傷つけ、「慰安婦」問題や教科書問題で右派に反撃する人たちへの口汚ない誹謗攻撃を繰り返している中宮崇（名古屋大学院生、『正論』98.4月号に「インターネットを仕切るサヨク・市民派の勝手放題…そしてオフ・ライン襲撃事件」を寄稿）が、この裁判の傍聴記を「週刊言志人」に載せている。その中で、俵について、「濃い顔の髭オヤジ」「悪名高き、従軍慰安婦の会の朝生で、『一般視聴者』を騙って参加し、『右派人脈』について嘘をばらまき、ごくフツーの若者にすぎない『日本ちゃちゃちゃクラブ』のラーメン屋二郎氏について中傷記事を書いていた男、出版労組の総元締め俵義文」「その『楽しむ会』、冊子によると、代表はあの俵義文だという。と言うことは、隣に立っていた髭男はやはる（ﾏﾏ）、『あの』俵義文本人なのか。おひおひ（ﾏﾏ）、こんな嘘つきの常習犯をトップに据えて大丈夫なのか？敵ながら、少々心配になる」などと誹謗攻撃している。第一、「ラーメン屋二郎」などまったく知らない人物であり、まして、中傷記事など書いたことはない。なお、２.3回目の公判は4.27、6.15に終わり、次回の公判は9.7、13時50分である。

• 『史』98年５月号で高橋史朗は、「感性教育と心の教育は車の両輪」と主張し、「濤川・高橋が軸となって、今世紀中に全国百ヶ所で『感性・心の教育フォーラム』を開催」するとしている。

• 「つくる会」は、98.7.4東京・徳間ホールで総会を行い、その後（秋以降）、全国を８つのブロックに分けてブロック大会を計画。その目的は、�@支部結成に向けて世話人を置く、�A正会員と会員の交流をはかる、�B本部と地方・地域との意思疎通の体制づくり、�C中学校教科書の採択戦に向けて地域状況の把握と実践方法の練り上げ、であるとしている。総会では、新たに理事（事務局次長）に高森明勅（國学院大学講師）、監事に古賀正（東邦レーヨン相談役）・吉村博一（税理士）が選ばれた。会計報告によると、収入総額は7,433万円で、内会費は4,261万円で、寄付金1,077万円、雑収入881万円、臨時特別基金収入600万円などが目に付く。また総会では、99年4月に検定申請を予定していた中学校教科書は、2000年4月に延ばすことが報告された。学校5日制の2002年完全実施のため、99年検定申請（2001年から使用）では、1年間しか使用期間がないことを理由にしている。また、パイロット版『国民の歴史』の発行も、当初予定の「99年春まで」から「99年７月まで」に変更された。また総会で報告された『国民の歴史』の内容（目次）は、「1.神話と科学　2.古代日本国家の誕生　3.ユーラシア大陸から独立する一文明　4.世界に花開く文学と美術　5.戦乱と信仰　6.ユーラシア大陸を統一したモンゴル帝国　7.天皇と武家　8.日本と西欧の同時勃興　9.初期近代としての江戸時代　10.近代としての東京時代（上）1868〜1914/18　11. 近代としての東京時代（下）1914/18〜1970　12.脱近代の苦悩」の12章構成（『SAPIO』98.7.8）。「ユーラシア大陸から独立した文明―という視点から、日本の歴史が世界の歴史とどうかかわっていたかを通史でとらえる」（『産経』98.7.5）というものである。

• 「つくる会」は、98.10.5の理事会で、体調不良を理由に事務局長の大月隆寛を解任して後任に高森明勅事務局次長を就任させた。高森は、国学院大学講師で神道研究家、天皇主義者である。『噂の眞相』99年1月号によると、西尾・藤岡に嫌われたことが本当の理由で、大月本人が知らない内に解任が決まっていた。小林は事前に解任に同意していた、ということである。

• 小林よしのりの『新・ゴーマニズム宣言スペシャル―戦争論』がベストセラーになっている。『戦争論』の帯には「戦争に行きますか？それとも日本人やめますか？」と書かれている。小林は、日本会議機関誌『日本の息吹』98年8月号のインタビューで「書く前に靖国神社にお参りし、本ができてから靖国神社に献本した」。『戦争論』は「若者が戦後民主主義の“洗脳”から自由になるためのバイブルとなる」。「ハルモ二」とか「外国人には情も沸かない」「共感できる範囲は日本人までが限界です」などと語っている。「つくる会」の伊藤隆理事は、『正論』98年10月号に「うす甘いサヨクにささげる現実の毒」というタイトルで『戦争論』の書評を書き賞賛している。「私も圧倒される感じで読み通した」「『戦争』という言葉を頭から消し、『平和』の呪文を唱えさえすればこの状況が続く、という雰囲気の中で小林氏が『戦争』を真正面から取り上げた勇気にまず敬意を表したい」「小林氏は、『サヨク』の運動である『日本軍残虐論』―その典型が南京『大虐殺』であり、『従軍慰安婦』であるーのいかがわしさを次々に指摘し、論破する。各地の平和記念館などに展示されている偽写真の暴露、ラーベの本のいかがわしさの指摘など痛快である」「『うす甘いサヨクの市民グループ』にはこの上ない毒であろうが、現実が国民の考えを変えていくであろう。本書がその促進剤になることを期待したい」。「つくる会」は、98.9.20にこの本を材料に第5回シンポを計画している。この本は明確で先鋭な「大東亜戦争肯定論」である。会がこの本を推奨しているということは、彼らが「自由主義史観」（これ自体もまやかし）を公式に放棄したことを意味する。この本についてタカ派ジャーナリズムが最大限の賛辞を贈っているが、一部のメディアも肯定的な紹介をしている。また、全国紙・地方紙に小林の漫画による大々的な広告が出ているが、98.9.17の「産経」の広告には、「小学5年生から89歳まで感動の応援レターが殺到！」「たちまち41万部突破！!」とある。『SAPIO』98.12.23号によると、「50万部突破！の大驀進を続け」ているとのこと。

• 「つくる会」は、9.20の東京での第５回シンポの後、12.5福岡、12.13京都、99.1.9札幌、2.6仙台でシンポ・講演会を精力的に開催している。シンポ当日は会員によるブロック大会を開催して支部づくりをすすめている。京都のシンポに参加した人の報告によると「京都会館第一ホール（１F席1600人、2F席400人）はちょうどいっぱいになり、少し立ち見が出る状況で、参加者約2000人は実数。参加者の内訳は、約7割が学生ないし20歳台後半ぐらいまでの青年層。残り3割が中堅のビジネスマン風や年配の世代の人々。参加者は、大阪をはじめ近畿一円、一部は浜松や鳥取からの人もいた。“近畿ブロック”の集まりという位置付けだったようで、主催者は京都で開いたことの意味を強調していた。シンポ後、会員だけを残して「近畿ブロック大会」を開催していた」。

• ｢つくる会｣は、『新しい歴史教科書を「つくる会」という運動がある』（扶桑社）を小林の責任編集で98.11.30に発刊。小林は『SAPIO』98.12.23号で、「わしが構成してまえがき書いてインタビュー受けて、マンガも一本書いて…、学者先生のケツひっぱたいて原稿も書かせたのだ！」「『戦争論』の半分くらいは売れるはず」とゴーマンかましている。初刷り20,000部、12月末2刷り10,000部、1月末5,000部（『史』99年1月号）。

• 「つくる会」は、9.20の東京でのシンポ以降、猛烈な勢いでシンポ・講演会を開催している。その実態は上記に収録しているが、まとめると、11.1東京・講演会、12.5福岡・シンポ、12.13京都・シンポ、1.9札幌・講演会、2.6仙台・シンポ、2.27上越・シンポ、5.22名古屋・シンポ、5.29広島・シンポである。11.1以外のシンポ・講演会では、終了後会員だけだけが残ってブロック大会を行い、ブロックの役員や支部設立の準備委員を選び、支部づくりを推進するテコにしている。具体的な支部設立は、99.3.17現在、1.22の神奈川を皮切りに、東京都区外・千葉県・東京都区内・埼玉県・大阪府がすでに結成され、4.4までに、茨城県・兵庫県・京都府・滋賀県・和歌山県で設立が予定されている。このシンポ・講演会・ブロック大会・支部設立を推進力にして、会員拡大をすすめ、99.2.16現在の会員総数は8,094人になっている（98.6.30から1,276人増）。なお、第11回の広島シンポの連絡事務局は「広島県の教育を考える広島市民の会」内になっている。この会は、「日の丸・君が代」問題を中心に広島の教育を攻撃するために「日本会議広島」が中心になってつくった右派組織である。「つくる会」の地方組織・地方活動が人脈的にも「日本会議」と重なっている例証である。会員はその後も増え、3.19現在8466名である（1ヶ月で372名増）。5.10現在の会員は8700名以上。

• 「つくる会」は『史』99年1月号に「地域支部規約案」を発表している。それによると、支部の目的は、「『つくる会』の会則に定める『新しい歴史教科書をつくり、児童・生徒の手に渡す』との目的達成を支援するとともに、国民に広く健全な歴史認識を普及、定着させること」とし、活動内容は、「�@『新しい歴史教科書』の採択促進。�A会員増加のための活動。�Bパイロット版『国民の歴史』の普及。�Cその他目的達成のために必要な活動」としている。また、会則案によると、正副支部長は正会員の中から選ぶとなっており、年会費12,000円を払う正会員しかなれないこと（一般会員の年会費は6,000円）、選任には「つくる会」理事会の「同意」が必要なことが明記されている。

• 「つくる会」の支部。神奈川県支部：支部長・保科直美、副支部長・大西裕、事務局長・小沢晴美、会員5000名と『国民の歴史』10万部達成を目指す。西東京支部：支部長・尾関良二、千葉県支部：支部長・上橋、事務局長・高野倉伍朔、会員1000名をめざす。東京支部：支部長・中島修三（「つくる会」理事）、副支部長・平田文昭、事務局長・長崎平人、現在の会員1200名。支部づくりは、上記の後、99.5.16現在、群馬、沖縄、北海道、奈良で結成され、鹿児島（5/30）、栃木（6/13）、大分（6/20）、長野（6/27）、秋田（7/4）、宮城（7/11）、岩手（7/17）、青森（7/18）、富山（8/22）、新潟（8/29）、福島（9/4）、山形（9/5）、福岡（9/19）が計画されている。

• 「教科書づくり」：藤岡によると（『正論』99.5月号）、歴史分野は二人の理事が、「専門家のドラフト原稿を生かしながら」、応仁の乱までとそれ以降に分担して通史で書く。「この教科書は本当に画期的なものになるということははっきり確信を持って申し上げる」。この2人とは、坂本多加雄と高森明勅ではないかと推測される。『正論』99.5月号は、99.2.27の上越市でのシンポの全内容を掲載している。前記藤岡の発言はこのシンポでのもの。同シンポで高森は、「歴史の学びというのは、それぞれの時代の特色をつかまなければいけないわけですね。いつの時代にもいじめられる民衆がいて、立ち上がる百姓がいてという、立ち上がり続ける百姓とか、民衆とか、そうではなくて、古代には古代特有の特色を理解させ」などと発言し、新学習指導要領の「歴史的事象に関する関心を高め、わが国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ」「それを通してわが国の文化と伝統の特色を広い視野に立って考えさせるとともに、わが国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」を紹介しながら、次ぎのように発言している。「これは極めてまっとうな目標であります。教科書をこの学習指導要領に忠実なものにしようというのが私たちの運動でございます。なにも突飛なことを行おうとしているわけではありません。歴史を学んでわれわれの文化に対する愛情を、歴史に対する愛情を持って、そして日本国民としての自覚を深める。当たり前であります。そのために歴史をやる。そのための歴史教科書をわれわれで力足らずともつくっていこうということです」。また、新学習指導要領の「内容の取り扱い」で「一揆について網羅的な取扱いにならないようにするとともに、それらの内容に深入りしない」としていることに「なかなか興味深い」と賛意を表明している。

• 「教科書採択の方針」：「つくった教科書が『採択ゼロ』ならばこの運動は壮大な自己満足に終わります。これは絶対に許されないことです」。採択させるために、「教育委員会制度を今こそ本当に生かすべきだ」「法律上はこの教育委員会がはっきり自分の見解を持って、ほかの教科の教科書はともかく、歴史の教科書については私も一人の日本人として、国民として判断できますという立場にたってもらうことです。そして、この自虐的な、さっきの乳房切りのような旧敵国のプロパガンダを史実として載せている教科書はだめだ、『新しい教科書』のほうがいいというふうに決断し、それを貫けば、制度上はこれが通るんです」。実際には教育委員の下に、審議委員や専門委員がいて、「最終的には現場の教師が実際には教科書を決めるようになってしまっている。そういう制度の下でも、教育委員が本来の力を発揮し、住民の利益を代表してやれば、これはやれるわけです」（藤岡『正論』99.5月号）。「つくる会」は、現場教師が採択に関わる方式は、彼らにとって不利と判断しているようで、藤岡が先頭に立って、学校票地区などの採択システムに対して攻撃している。『国民の歴史』の普及（予約・直販だけで100万部）とそれを使った「歴史学習運動」によって「国民に広く健全な歴史認識を普及、定着させる」こと、支部は、その学習運動と採択活動を担う役割である。近々、採択戦の「手引き書」を発行する予定。

• 「つくる会」は、これまで使っていた本郷3丁目の事務所が手狭になったとして、本郷2丁目に移転した。コンピューターシステムもパワーアップするとのこと。新事務所は文京区本郷2-36-9西ビル１F。

• 「つくる会」の歴史教科書の教師用指導書と生徒向けの学習ノートの作成は、「自由主義史観」研究会が分担することになった。執筆メンバーは、教師会員の中から藤岡が人選する。藤岡は教科書執筆者と指導書執筆者を結ぶコーディネーター役をとのこと。「自由主義史観」研・会報33号）。

• 「自由主義史観」研究会・学生サークルが11月末に発足。これは、高校生以上の学生を対象としたもので、同研究会の「子組織」という位置づけで設立されたものである。名称は「自由主義史観研究会スチューデント・サークル」

• 「自由主義史観」研究会は、「プロパガンダ写真研究会」（プロジェクト・チーム）を設立。「反日的・自虐的な見方によって捏造されたプロパガンダ写真・映像資料を実証的な観点から検討すること、これらの資料を掲載している本を書いた著者や資料を展示している展示館等の責任者に是正を求めることを目的」にしたもの。98.2.14 に第１回会合。以下3.14、4.12、5.9、6.13、7.11に会合をおこない、南京大虐殺の「ヤラセ映像とニセ写真の分析」や右翼の集会でよく上映される戦争賛美映画「天翔る青春」を授業で使えるビデオとして紹介する活動をしている。

• 「自由主義史観」研究会は、98.8.8-9東京・台東区水月ホテルで第3回全国大会を開催する。模擬授業「日韓併合」、呉善花と藤岡の対談「日韓の歴史と未来をどう教えるか」、模擬授業「東京大空襲」、学生による歴史ディベート「日本は国際連盟を脱退すべきではなかった」などが予定されている。

• 藤岡等「自由主義史観」研究会のメンバー20人は98.8.12からタイ、インドネシア、マレーシアを訪問。「つくる会」の創立趣意書の英訳に各国の要人から賛同の書名を得た。タイのタナット・コーマン元外相は「日本国内に自虐的な歴史観があることは知っているが、実は日本の働きなしにマレーシア、シンガポール、インドネシアが植民地から独立することはありえなかったのも事実だ」と述べて署名した。インドネシアのルスラン・アブドルガニ元外相は「日本軍には非道な面もあったが、独立運動に役立った側面も忘れてはならない」と語って署名した。新しいインドネシアの改革派指導者のアミン・ライスは「歴史がもっと客観的に書き直されねばならないとの考えに同意する」と書いて署名した。マレーシアのガザリー・シャフェー元外相は「自己を否定するあまり、日本の大事な精神を崩壊させて、民族の誇りを完全に失った」と語った。3カ国で計9人がコメントをつけて署名した。藤岡は「日本軍から占領を受けたはずのアジアの人々のほうがその功罪を公正に評価し、単純なアジア主義ではなく戦略的な視点からアジアと歴史をとらえている」と今回のアジア歴訪を総括した（「産経」8月26日）。

• 「自由主義史観」研は、98.9.26、東京・新宿の三省堂文化会館で「反日偽書反撃集会」を開催する。集会のタイトルは「『南京大虐殺』はなかった！―アイリス・チャン『レイプ・オブ・南京』はいかに歴史を偽造したか」。内容は「プロパガンダ写真の正体（藤岡他）「『レイプ・オブ・南京』の完全論破（東中野修道・犬飼総一郎）。

• 「自由主義史観」研は、98.8.8「平成10年度総会」を開催した。総会では事務局長が上原卓から大越哲仁に変わった。同会の会員数は「平成９年度決算」の会費納入額から推定すると542名である。昨年の総会の予算では会員数を900名としていたので、実績は6割ということである。決算報告には、予算に無かった特別会費550万円が報告されている。今年の総会で会則が改定され「会の企画・編集にかかる出版物の著者となった会員は、特別会費として印税の15％相当額を会に拠出する」が新設され特別会費200万円が計上されている。

• 「自由主義史観」研は、上記のように会員拡大が進まないために、財政危機に陥っている。『会報』31号（99.2.25）には、このままだと「重大な局面を迎える」という「研究会ご支援のお願い」が出ている。それによると、打開策として、広告収入と法人会員制度を作って収入増をはかるということである。法人会員は年会費5万円（一般会員は8000円）で、特典として年1回分の広告が無料になる。その広告料は、『会報』（Ａ４判）の1/4ページで3万円、名刺広告は1万円である。法人会員の会費も高いが、会員600人位の会の『会報』に載る広告料としてはべらぼうに高い。案の定、担当の杉本幹夫（前記クリオ情報企画の取締役でもある）は、広告を「2，3の知り合いにお願いしてみましたが、あっさり断られました」と書いている。杉本は、財政状況の厳しさを訴え「現在の偏った歴史観の是正、教育の荒廃を考えますと、この研究会の使命は極めて重大です。絶対に潰すことは出来ないと思っています」と訴えている。

• 「自由主義史観」研は、現行小学校歴史教科書を攻撃するために、「小学校歴史教科書批判プロジェクト」（リーダーは入川智紀）を発足させ、ブックレットを発刊する。「現行の小学校の歴史教科書はまさに贖罪のパンフレット」なので、「小学校歴史教科書（近現代史部分）を徹底批判し、日本の小学生たちが、この教科書（贖罪のパンフレット）で歴史を学んでいることを、広く国民に知らせる」ために緊急出版するということである。仮テーマと執筆分担は、「発刊にあたって（藤岡信勝）、�@幕末・維新期（松本泉）、�A明治の改革（上原卓）、�B自由民権・憲法・国会（司法）（本宮武憲）、�C日清・日露戦争（不平等条約改正）（安達弘）、�D韓国併合など（領土問題）（杉本幹夫）、�E大正期（工業の発展、都市と農村）（赤野達哉）、�F『長く続いた』戦争（齋藤武夫）、�G南京事件（コラム）（入川智紀）、�H占領期にできた憲法（佐藤民男）、�I冷戦・現代（吉永潤）、資料編（ＭＯＫＵ、学習指導要領、教科用図書検定規則）」である。この紹介の中で、入川は福地惇解任問題に触れ、事件のきっかけは「福地氏が、現在検定中の小学校の歴史教科書を『贖罪のパンフレット』と発言したことによります」と書いている。私たちは、教科書調査官といえども、検定中の教科書の内容を公開してはならないのに、一方的に公開して誹謗したということ、つまり守秘義務違反を解任要求の第1の理由に指摘していた。福地氏は、共同通信記者に「検定中の図書のことではない」と強弁し、藤岡・西尾たちも守秘義務違反の事実には触れないで、「公務員にも言論の自由はある」「言論弾圧だ」などと騒いでいた。入川がこの事実を認めたことは重大である。公務員には守秘義務に違反した「言論の自由」はないので、解任を不当とする彼らの根拠が崩れるからである。（以上『会報』31号より）。

• 前記ブックレットは、この10テーマに加えて、吉永潤副代表が「国民を育てる歴史教科書とは」と題した争論を書く。また、サブタイトルの案として、同会理事会では「学級崩壊の大本は変更教科書にあり」が出ている。両者に共通するのは「公意識の喪失」だという理由によるとのこと（『会報』32号）。

• 「若手議員の会」は、9.24記者会見で、中川農水相の発言は何の問題もないとして、会の見解をまとめた抗議文を朝日新聞・若宮啓文政治部長に来週中に手渡し、同社の論説委員・「天声人語」執筆者に討論を呼びかける、と発表した。

• 日本会議は98.4.18総会を開催した。「平成10年度運動方針」の柱は、皇室、憲法、教育、防衛、英霊顕彰、当面する時局問題（夫婦別姓　法案反対と国籍条項堅持）である。教育の方針は、「教科書の偏向記述を是正し、戦争資料館の偏向展示を撤去するよう働きかける。また、道徳教育の充実を政府に働きかけるとともに、日本的感性を育む教育の国民運動を展開する」としている。そして、「教育運動に関する特別声明」を採択した。日本会議国会議員懇談会・副幹事長の衛藤晟一衆議院議員は、同懇談会が三つのプロジェクトをつくって活動していることを紹介している。�@「歴史・教育・家庭問題」（座長・中川昭一）、�A「防衛・外交・領土問題」（座長・安倍晋三）�B「憲法・皇室・靖國問題」（衛藤晟一）の三つである。�@は、「歴史教科書や戦争資料、夫婦別姓などの問題を扱」い、�Aで新ガイドラインや有事法制などを扱うということである。

• 日本会議の98年度の全国キャラバンは、8.20〜9.15に、全都道府県を対象に東西２隊に別れて行われる。「誇りある国づくりを！−天皇陛下御即位十年を迎えて」「青少年に国への誇りを！−歴史教育の創造と道徳教育の回復をめざして」をテーマに各地で日本会議県本部の設立大会や県民大会などを開催する。

• 県議会で検定強化の意見書を採択した新潟県上越市で、上越経営者漁火会（漁火会は全国で地方議会決議を策動）が『教科書が教えない歴史』１・２巻40冊を市に寄贈。市は全小・中学校に配付を計画したが、慎重論が出て取り止めて市立図書館に置くことに決定（8.30）

• 「従軍慰安婦」南京大虐殺などの記述がある教科書の履修義務不存在と損害賠償を求める「違法教科書訴訟原告団」（中村粲代表）は、『正論』誌上の広告で支援会員（年一口１万円）を募集している。98.3.19から東京地裁で公判開始。

• 『正論』97年11月号には同誌創刊24周年を祝う広告が出ている。曰く、創刊時は「少数派」だったが「現在では先見の明ある『多数派』と自負して」いる。協賛団体・企業は、�@新しい歴史教科書をつくる会�A錦正会�B昭和史研究所�C日本の夜明け実行委員会・高志啓発塾�D正論の会�E日本世論の会�F憂国忌実行委員会�G日本歴史修正協議会�Hヴィジョン21�I日本の明日を考える会�J満鉄会�K洛風書房�L違法教科書訴訟原告団�M原書房。上記講演会などの主催団体が名を連ねている。この内、「ヴィジョン21」は「福澤諭吉の『支那と戦ひて勝たざれば、我日本は自今永く支那の凌辱を豪るのみならず、世界各国の為に軽蔑せられ侵掠せられ、到底国の独立を維持すること能は』ず、との言葉に満腔の共感を覚えます。明日の祖国は私達にかかっています」という「20代〜30代の有志が集まり、光輝ある自主独立の祖国日本の再生に各々の立場で力を尽くしたいとの願いから生まれた」。事務局は川崎市にある。最近（98年12月）判明したところによると、この「ヴィジョン21」は、中村粲の弟子（昭和史研究所の所員）の青年たちが組織した団体である。

• 後述する映画「プライド」に関連した事業として、97.11.20、京都市東山区京都霊山護国神社にパール判事の顕彰碑が建立された。これは、陸軍士官学校ＯＢの経済人でつくる「同台経済懇談会」が中心になって建てたもので、同会の依頼を受けて林田悠紀夫参議院議員(自民党)が提案し「パール博士顕彰碑建立委員会」（瀬島龍三委員長＝伊藤忠商事特別顧問）を結成。同委員会顧問には、林田の他、荒巻禎一京都知事、梅本頼兼京都市長などがなっている。「同台経済懇談会」（会長・瀬島龍三）は東京裁判の判決は「反日・自虐的な戦争史観」であるとして、日清・日露戦争から「大東亜戦争」にいたるまでの戦争史『近代日本戦争史』（全４巻）をまとめている。建立を影で推進したのは、田中正明とその弟子たちでつくる「日本歴史修正協議会」である。同様の動きとして、「大東亜聖戦大碑建立」（金沢市石川護国神社境内に2000年8月完成予定。彼らは皇紀2660年としている）が計画され、建立委員会がつくられ募金活動を開始。委員会の委員長は草地貞吾（元関東軍参謀）、副委員長は米沢外秋（石川県英霊にこたえる会会長）、名越二荒之助、中村粲。実行委員長は中田清康（日本をまもる会会長）。草地貞吾は、元７３１部隊関係者として、戦後、ハバロフスク軍事法廷で裁かれた人物である。

• 日本歴史修正協議会（会長・鈴村彰英）は、「学生、サラリーマン、青年実業家など若者中心の歴史研究団体」を自称。「南京大虐殺まぼろし派」の田中正明の弟子たちが96年4月に結成した右派組織で、本部は京都にある。会員は約400人で、内300人が京都で、東京、横浜、滋賀、大阪、兵庫、岡山に支部がある。田中正明は「京都を歴史修正の拠点にする」と主張している。同会は、97.10 〜11に開催したセミナーの藤岡・田中・中村ら６人の講演を収録したビデオ「教科書が教えない歴史観」全６巻を制作、３月下旬に発売する（全巻セット1500円）。

• 中村粲・藤岡信勝・小山和伸（神奈川大教授）・東中野修道（亜細亜大教授）は、98.6.12日本外国特派員協会で記者会見を行った。後記のアイリス・チャン著『レイプ・オブ・ナンキン』が史実を歪曲している、史実を歪める写真が使われている、などと非難した。彼らは「南京事件の真相を探るため」本年8月にシンポジウムを計画、チャン氏にも参加を求めるとのこと（秋以降に延期）。記者会見で彼らが主張したのは、単にチャン氏の著作の問題点だけではなく、「南京事件はまぼろし」ということである。会見には30人の記者が参加。なお、小山は98.7の参議院選挙に青年自由党の比例代表候補として出ている。

• 青年自由党党首で東日本ハウス前会長の中村功らは、97年秋、「第三ステージ日本」を発足させた。人生の第一が青年期、第二が壮年期で、第三ステージとは人生仕上げの時期という位置づけである。高齢者をターゲットにして、教育委員会、ビジネス委員会、オンブズマン委員会、高齢者再就職委員会、会報委員会の５委員会を設置して、講演会などを開催して活動している。役員は、相談役：中村功、会長：飯島尚眞（三井物産ＯＢ）、副会長：河合喜久男・大塚文雄・杉野栄仙、幹事長：川島譲、事務局長：斉藤信二、事務局次長：石川佐智子。事務局は東日本ハウス本社ビル内。

• 99.1.31「教育再生　地方議員百人と市民の会」なるものが設立総会を開催した。この会の目的は会則第2条によると「現代社会における数々の矛盾の背景に厳然と横たわる教育の荒廃を直視し、未来を担う日本の『子供たち』のために、地方議会を教育改革の場としてとらえ、なかんずく健全な学校教育の再生をめざす」といものである。具体的な活動内容は「一、地方議会を通じた『教育改革・正常化』の活動。二、『教育改革・正常化』をめざす地方議員への協力、支援活動」を中心にして、情報交換・講演会・会報の発行を行う。また、「『日本のよさ』を共感する各種同憂団体、機関との連携」「各地域の学校に対して、直接的な申し入れ、働きかけ」を行い、「取り敢えず、『国旗』『国歌』『元号』（組合の反対目標<三点セット>）を学校に守らせる」「法令で規制された、政治的中立維持義務違反の『狂育』活動の摘発と改善」に取り組むとしている。「現在の学校に自浄・再生能力はない」ので「学校外部から必要かつ適切な働きかけ」が必要で、日教組・全教の組合員による「『誤れる教育』から青少年を救うのは」「地方議員の権利であり、義務である」などと主張している。これは、中教審答申が打ち出した「学校協議会」に入り込み、学校・教育に政治的に介入することを全国的な運動として展開する危険な意図を表明したものである。会員は、「議員会員」「一般会員」「法人会員」で、会の事務所は大阪府吹田市である。賛同者には、藤岡・濤川・高橋など「つくる会」の副会長・理事をはじめ、西村眞吾・土屋敬之・三輪和雄・小田晋・中村粲など右派が名を連ねている。他には大阪・京都の教師などを含めて全部で148名が賛同者である。

• 『産経新聞』99.5.30は、『産経』と『正論』の調査によるとして、「国旗・国歌の実施率低い都道府県　いじめ・暴力行為多発　『偏向教育』が影響か」という見出しで、「全国学校偏向度マップ」なるものを付けて、大きく報道した。東京版は社会面だったが、地方版は一面トップで、見出しも「国旗・国歌の実施率低い都道府県　いじめ・暴力行為多い　『偏向』教育と問題行動に相関」である。内容は、「日の丸」「君が代」を実施しないことを「偏向教育」と決めつけ、「入学式や卒業式で国旗掲揚,国歌斉唱の実施率が低い都道府県では総じて、いじめや暴力行為が多く発生している」と断定し、「国旗・国歌をきちんと指導しない偏向教育が、児童・生徒の
  問題行動につながっている」というもの。また、全教・日教組の組織率の高いところ（組合員が多いところ）ほど、実施率が低く、いじめや暴力行為の発生率が高く、相関関係があるとしている。全く勝手なこじつけである。

• 「自由主義史観」研の「プロパガンダ写真研究会」と連動するように、自民党の地方議員を中心に、「戦争博物館の偏向是正を求める」ことを目的に、全国ネットワークを結成する。土屋敬之東京都議（民主）、吉田利幸大阪府議（自民）、高谷清神奈川県議（県政21）、佐藤忠長崎市議（自民）らである。『産経』は「市民レベルで連携強化」と報じた（98.2.7 夕刊）が、「自民レベル」が実態で、「平和資料館問題を考える自治体議員ネットワーク」の名称で98.2.12結成された。メンバーは、上記の他、田代博嗣（自民）・古賀俊昭（自民）の東京都議の６名。『産経』が報じる「展示内容が問題になっている主な戦争博物館」は、東京都平和祈念館（計画中）、神奈川県地球市民かながわプラザ、川崎市平和館、埼玉県平和資料館、大阪国際平和センター（ピースおおさか）、堺市平和と人権資料館、吹田市平和祈念資料館、福山市人権平和資料館、長崎原爆資料館、沖縄県立平和祈念資料館、である。『産経』はこれ問題のある自治体の資料館は約20カ所あり、「設置にあたっては、教科書検定訴訟の家永三郎氏らが呼びかけ人になった『平和博物館を創る会』が深くかかわっていることが分かっている」としている。東京の平和祈念館建設を攻撃する「東京の平和を考える市民の会」は藤岡と日本会議、土屋都議らが中心。土屋都議は「自由主義史観」研のメンバーで、中村粲の教え子という情報がある。

• 98.7.26、大阪国際平和ｾﾝﾀｰ（ピースおおさか）で開催された「全国の平和博物館を考える市民ネットワーク」のシンポジウムに右翼の街宣車22台が押しかけて会議を妨害した。

• 岡山市議会文教委員会は、98.9.18、中学校歴史教科書から「従軍慰安婦」記述の削除を求める請願を採択した。委員会は賛否4対4であったが委員長の賛成で採択した。文教委員会では、保守系議員が「日本だけにあった事実はない。教科書に載せるのは国の恥だ」と意見を述べている。同市議会は、97年2月、削除反対の請願を採択しているが、この矛盾した内容の請願を保守派は24日の本会議で採択に付し、24：21で趣旨採択した。請願者は岡山市郷友軍恩連盟で400人分の署名添えて、保守系の政和会・新風会の5議員を紹介議員にして、6月議会に出されて継続審査になっていた。全国からの抗議・要請は22日夕方までで72通に達し、24日までには賛否あわせて100通を超えた。

• 石川県議会9月会期（9.16〜10.2）に「歴史教科書に関する請願」が出されている。請願者は、「日本郷友連盟石川県支部」「石川県郷友会」会長・石崎皓三、紹介議員は木本利夫（自民）、山田省吾（地域政治研究会）、石坂（新進石川）。文教公安委員会は9.30、議会最終日の10.2に取下げになった。

• 土屋たかゆき都議（民主党）は、『ストップ・偏向平和祈念館―税金を使った犯罪は許されない』を出版。その出版を祝う会が98.11.16に開催された。会費1万円。発起人は、石井公一郎・伊藤哲夫・宇佐美忠信・大原康男・小枝義人・武原誠郎・竹本忠雄・豊島典雄・藤岡信勝・南丘喜八郎・三輪和雄である。「自由主義史観」グループ、「日本会議」、右派が勢ぞろいしている。

• 宮崎県議会は、98.12.15、県郷友会から出されていた「中学校社会科教科書正常化に関する意見書提出を求める請願」を自民党他35名の賛成多数で採択した。自民党が用意していた意見書は、議会運営委員会で社民党などが反対したため採択は見送られた。自民党県議団は、次期会期には意見書を提出するとしている。請願は、「従軍慰安婦・強制連行」記述の削除と検定基準の「近隣諸国条項」の是正を求めている。「近隣諸国条項」を問題にしているは、福地教科書調査官解任問題を意識したものであろう。

• 自由主義史観研究会は、割引券を1万枚取り寄せ、前会員に2枚づづ送付。会員からは「大きな反響！」があり、追加の注文も含めて8530枚を捌いた（『会報』26号）。

• 中村功によると、98.8.5-6、オーストラリア・ブリスベンでの国際映画祭で「プライド」を上映し「非常に好評を博しました。そして、商業映画としてオーストラリアで興行されることがほぼ決まりかけています。さらに、南米はブラジルで是非興行したい、ということでこれは相当高い可能性で準備しています」ということである。また、「日本の若者が埃を取り返す」ために、「プライド」につづいて、「多くの日本人が参加したインドネシアの独立戦争」をテーマにした映画をつくると予告している（『日本の息吹』）。

• 中国・香港合作映画『南京１９３７』に対する右翼の妨害が続いている。横浜では映画館のスクリーンが切り裂かれ、上映が途中で打ち切られた。福岡でも上映予定を早めに終了させた。8月25-26、茅ヶ崎市民の実行委員会による自主上映が行われたが、8月中旬から右翼の街宣車が、多い時には20台以上市内を駆け回って妨害活動を展開した。市民らは毅然としてこれに対処し、上映を成功させた。右翼の各地での妨害は、「プライド」の上映が始まった期間に一段と活発になっている。

• 「プライド」のビデオが完成し、99年3月21日に発売された。税込み4800円。『正論』99年4月号や『SAPIO』などに広告が出ているが、『正論』の広告は見開き2ページの左右の隅なのに対して、『SAPIO』は全1ページを使っている。

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