hanauta
トップページハナウタとはインタビューA面インタビューB面内容紹介配布先リンクバックナンバー
sideA
――落語家の世界は厳しいと思いますが、今までにやめようと思ったことはありませんでしたか。
「いや、でも『新選組!』に出るまでは東京でも落語会やってませんでしたし、世間的にもそんなもらえてなくて、落語会やれば赤字やし……誰もが通る道ですけどね。でも、ほんまにやめようかなと思いました。例えば70人ぐらいでいっぱいのところを借りて、20人とかしか来ないんですよ。僕の勉強するためにやってる会なので当たり前なんだけど、やっぱりお客さんはそういう意識で来てないんじゃないかみたいに勝手に思うわけですよね。で、勝手に固くなって。今考えれば面白くないやろなって思うような、変に緊張した落語をやって。20人だけど自分のために来てくれて、俺は楽しい、面白いっていうように発散したらいいのに、来ていただいてすいませんって」
――へりくだるような気持ちになってしまう。
「そうそうそう。アンケートもやっぱり面白くないこと書いてあるし。でも30人とかじゃあもうペイできないから、持ち出しなわけですよ。3万とか4万とか赤字になって、それでもまた次のDM書いて。ほんと悪循環ですよね。『面白いことやってるから来てください』じゃなくて、会をやらなければいけない、みたいな。落語家としてどうなんやろなって……23でこの世界に入ってますけど、30前ぐらいの頃ですかね。ほんで、ラジオのお仕事なんかもいただいて、収入もちょっと楽に

――もちろん嫁はんはめちゃめちゃ働いてくれてたんですけどね。会社からもらうギャラがゼロとか1万円とかじゃなくなったなあとか思っても、でも落語的には自分に手応えがないっていうか。そりゃそうですよね、固いままやってれば。1年半とか2年ぐらい、そんな状態が続いて」
――そう考えるとテレビの効果ってすごいですね。
「わかりやすいです。ほんとはそうやって悩んだ後に自分で開き直るとか、お客さんの一言で変わるとか自分で発見すればいいんですけど、僕はなかなか不器用なんで(笑)。わかりやすいですよ、『新選組!』に出たっていうのが。ほんとはもがいてもがいてもがいた中で自分で見つけて、これ絶対おもろいはずやって自分でスイッチ切り替えて、お客さんが『あっ、あいつ変わったな』って思うようにならなきゃいけないんだけど、俺が情けないのは、なかなか自分で見つけられなかった中で、東京でやったら三谷(幸喜)さんや山本耕史くんとか小林隆さんとかが見に来てくれて『あんたおもろいもんやってるよ』って言われて初めて自信がつくわけですよね。なんでウケへんのかなって思うけど、でも別にお客さんがそう見てるんじゃなくて、勝手に自分で思いこんでるだけなんですよね。だってお客さんに今聞いたら、その時のお前の落語おもろかったって言う人いますし」

――頑なになっちゃってるんですね。
「みんな表に出る人はそうだと思いますけど。
早く見つけられる人は見つけられるし、楽しいままボーンって
その流れに乗れてる人もいるけど、やっぱり落語って1人でやるもん
ですから悩むんでしょうね」
――それを乗り越えたからこそ、今の吉弥さんがいらっしゃるわけで。
「ほんとに乗り越えた人からしたら、お前なんか乗り越えられて
ないって言われるかもしれないですけど。
でも、落語ってよくわかんないなあっていうときに、
三谷さんとかの言葉で気づかされたのもありますけど、
よくよく考えてみればその時はまだ吉朝も生きてましたし、
師匠とか大師匠がいるっていうのが大きかったですね。
こういうふうに生きていけば、後々ちゃんとこうなれるんだっていうお手本が目の前にいたのでね。いろんなことしなくても、今お前がもがいてることをもがき続ければ、こういう結果が来るぞっていう見本として、近くにいてくれたのもありがたかったですね」

――今後さらに活躍の場が広がりそうですが、これから目指されているビジョンはありますか?
「もっといろんなことしたいですね。さっき言った、落語のベースの部分を作らないけないっていうのももちろんそうなんですけど、例えば大阪で言うと(桂)文珍さんであるとか、(笑福亭)鶴瓶さんとか、ありとあらゆることをやって今落語っていうものに集約されてますし。(立川)談志師匠だって、昔は笑点の司会やったりとかいろんなことやって、(春風亭)昇太兄さんもそうですもんね。ラジコンレースの司会とかやってますから。
だからさっきの話やないけど、楽な道としんどい道があったら、しんどい道を選んで『こんなことやったことないけどやるんか』みたいなこともやっていきたいと思いますね」

 

 

 

PAGE1 PAGE2 PAGE4
Top || hanauta || Side-A || Side-B || Contents || GET hanauta || Link || Back
Copyright