――もちろん嫁はんはめちゃめちゃ働いてくれてたんですけどね。会社からもらうギャラがゼロとか1万円とかじゃなくなったなあとか思っても、でも落語的には自分に手応えがないっていうか。そりゃそうですよね、固いままやってれば。1年半とか2年ぐらい、そんな状態が続いて」
――そう考えるとテレビの効果ってすごいですね。
「わかりやすいです。ほんとはそうやって悩んだ後に自分で開き直るとか、お客さんの一言で変わるとか自分で発見すればいいんですけど、僕はなかなか不器用なんで(笑)。わかりやすいですよ、『新選組!』に出たっていうのが。ほんとはもがいてもがいてもがいた中で自分で見つけて、これ絶対おもろいはずやって自分でスイッチ切り替えて、お客さんが『あっ、あいつ変わったな』って思うようにならなきゃいけないんだけど、俺が情けないのは、なかなか自分で見つけられなかった中で、東京でやったら三谷(幸喜)さんや山本耕史くんとか小林隆さんとかが見に来てくれて『あんたおもろいもんやってるよ』って言われて初めて自信がつくわけですよね。なんでウケへんのかなって思うけど、でも別にお客さんがそう見てるんじゃなくて、勝手に自分で思いこんでるだけなんですよね。だってお客さんに今聞いたら、その時のお前の落語おもろかったって言う人いますし」
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