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暴走する愛国主義 米デューク大、王千源さんへの攻撃 (2/3ページ)
王さんは学内集会で「まず冷静になりましょう」と呼びかけて仲介を試みただけで、「チベット独立」については支持していない。外国に対して民族主義を誇示するにとどまらず、同胞をも袋だたきにする反応について、王さんは「排外的なだけでなく“排内的”だ」と評した。
悲しいまでにパターン化された「愛国主義」の表現ぶりを、王さんは「愚民化教育の結果」だとみる。「人が愚かであるほど、政府にとっては御しやすい。中国では、学校の道徳の時間は政府の宣伝(プロパガンダ)だと思っていた。愚民化教育は、思考を硬直化させる道具だ」
王さんは94年に江沢民政権が教育要綱を制定した「愛国主義教育」にどっぷり漬かった世代でもある。中華民族の栄光をたたえる一方で、列強による近代以降の被害体験を強調するこの教育については、「きれいな言葉できたないものを覆っている。過去の被害で現代の他者を攻撃するものだ」と語った。
学内での言論が脅迫などの対象となったことについて、デューク大学のデービッド・パレッツ教授(政治学)は、「大学で言論の自由が得られないなら、一体どこで得られるというのか。インターネットの登場によって、言論の自由に対する対価は高くつき始めている」と懸念を示した。