「作品は呼吸し、成長するもの」
ドイツ、ルーマニアの空気を感じて、渋谷の『夏祭浪花鑑』が完成する!
4月18日、演出家・串田和美、中村勘三郎らが出席して、渋谷・コクーン歌舞伎第九弾の製作発表が行なわれた。コクーン歌舞伎で『夏祭浪花鑑』が上演されるのは、今回で三度目。串田和美が演出家として初めて歌舞伎に関わった作品で、ニューヨーク公演も行なった人気作だ。
|
串田「これまで渋谷、大阪、ニューヨークなどで公演をして感じたことですが、稽古をしていると、その街のリズムを感じて役者の芝居も変わって行く。今回、渋谷の公演では、ドイツ・ベルリン、ルーマニア・シビウでさまざまなものを吸収した『夏祭』が見られると思います。再演というのは、我々も成長し、お客さんの感性も成長していくんだと思います。これはとても幸せなこと。こういうことが続いて、古典になっていくのだと思います」
勘三郎「串田監督が金丸座の楽屋に来て、コクーン歌舞伎をやりたいと言われたときのことは今でも忘れられません。いま、その金丸座では(市川)海老蔵が“お辰”を演じていて、私が彼に指導させてもらいました。指導するなんていうのは夢のようでしたけど、人に教えることで、自分のあらも見え、また新しい発見もできます。今回、その“お辰”は、自分の息子たちが演じます。(※勘太郎、七之助のダブルキャスト)自分もそうだったから、最初からうまくやられてたまるか(笑)と思いますが、私が教えたり、あとは串田監督の演出にまかせたい」
|
![](/contents/016/421/929.mime4) |
コクーン歌舞伎の企画が始まった当初は、風当たりの強いこともあったが、現在では「歌舞伎が特別なものじゃなくなった。伝統的なものから、コクーン歌舞伎のようなタイプのものまで色んなものがあることが浸透して来た」(勘三郎)という。伝統にとらわれることなく、これからも「あっと言わせる企画を考えている」という2人。まずは『夏祭』で世間を驚かしてくれるに違いない。
text:山下由美
photo:松竹
|