Tomotaka's World

〜最近読んだ本の書評〜 2002・10・17



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 最近読んでいる本こそ、今の興味主体を示す最大の指標であると思われます。雑感週報ともども御愛顧下さい。






「本棚紹介」
「読んだ本の書評〜目次」
2002.09.13〜2002.10.17

権力とは何か〜中国七大兵書を読む 安能務 文春新書
 中国論点からの権力と王権の話し。宗教的な視点のない中国風の権力論はおもしろいが、法家などのシテマティックな話しも出ながら結局は人心掌握術に行きつくのこそ一番中国的である。

デジタルを哲学する 黒崎政男 PHP新書
 IT、著作権、情報のとらえ方、さらには洗剤、クローン、ロボットと最近話題のテーマを哲学者が扱ったエッセイ集。酒場の会話のようでほとんど読む価値はないが著作権でのボルター「ライティングスペース」での著作権放棄のあり方とマーク.ポスター「情報様式論」で情報の容れ物のと情報のあり方で示している事例は有効だがそれは原著を読めばイイ。入門書の役割をどこまで果たしているのか疑問。

入門超ひも理論 広瀬立成 PHP
 夏前に殊出来の入門書として話題になった本。しかし私の物理学に関する知識が中途半端なのか、素人向けの説明はうっとうしい位饒舌なのに工学系の人間が数式に付いていけなくなる(分からなくなる)部分の説明がほとんどなくて、その先の説明がまた詳しくなる。これではほとんど意味がない。

出エジプトの秘密〜モーセと消えたファラオの謎 メソド.サバ 原書房
 貴重な本! 、読み辛いが一読の必要性あり。モーゼに関する記述は他の本でもいろいろあるが、エジプト王朝史の視点から見直しユダヤ教がエジプトの宗教界の宗教改革(派生)から生まれたとする主張は秀逸。その論拠をヒエログリフとヘブライ語の比較で行う手法は素晴らしいのでしょう。

花の下にて春死なむ 北森鴻 講談社文庫
 99年推理作家協会短編賞受賞作の連作短編集。ビアバーのマスターのバ−テン探偵モノでありながら最初の作品(事件)の人物が最後の作品(事件)に関わる小説技巧が優れていて読みやすい。娯楽作品として良質。

メビウスレター 北森鴻 講談社文庫
 「今はもうどこにもいないキミに」で始まる手紙(脅迫状)が連続して送られてくる作家の周辺で起こる火事そして編集者殺人事件、そしてその解決後に明らかになる脅迫の真相。題名の暗示がなかなかわからないままに引き釣り込まれるサスペンス。良質のミステリーだが映像化ができないのが残念。

冥府神の産声 北森鴻 カッパノベルス光文社
 脳死をテーマに意識、魂、人間の存在限界に関して迫る本。ストーリーは研究室からの追放と殺人事件にまつわりながら脳死テーマの探究といった流れだが、ミステリーではなく脳死問題だけで読む価値がある。しかしこのテーマで瀬名さんが書いてくれたらより楽しいだろうに。

よもつひらさか 今邑彩 集英社文庫
 ホラー短編集だがまとめて読むと全て同じ構成とテンポのために非常に読み辛い。古事記の黄泉比良坂(よもつひらさか)をテーマにし黄泉戸喫(よもつへぐい)を口にすると結界から抜けだせなくなる話しは伝承がベースなだけに面白い。

あなたは虚人と星に舞う 上遠野浩平 徳間デュアル文庫
 ナイトウィッチ3部作の最終巻。上遠野浩平の独特な世界ですがジャブナイルのレベルを越えて泣けるほどの文学作品と言いたいくらいです。上遠野浩平さんは純文学に興味がないのでしょうが、直木賞とれる作品をかける人だと感じます。

密会〜アムロとララア 富野由悠季 角川スニーカー文庫
 ガンダムのノベライズの一冊。シャアとララアのなれそめはこの本が初出。TV版を見ていた人にはお涙モノです。

古代出雲巨塔の謎 祖田浩一 中公文庫
 古代ではなく中世出雲大社の建設のための政治&社会の話し。当然16丈とか32丈の検証ではなく8丈の現状の高さの本殿の再建の流れ。しかし平安時代から鎌倉室町そして江戸時代迄の再建にかかわる人の情熱と権力争いは面白い読み物になっている。文献から倒壊と再建の年表作成しているのは貴重な試みで評価出来る。

古都鎌倉ミステリー旅 歴史の謎・怪異・ロマンを訪ねて 吉田憲右 コスミック出版
 地元に住むサーファーが書いたお寺の伝奇(ミステリー系の)紹介本。単に伝承を集めただけでなく不思議なお祭りの様子等地元ならでは情報が満載。有名な観光スポット以外の鎌倉観光にはお勧め。怪異現象も2ケ所の体験談が含まれて(地元の人は同じように感じている)納得できます。マニアックな鎌倉ファンにおすすめ。

水で血液サラサラ 宝島編集部 宝島新社
 話題の水療法の紹介。水を飲むことで血液の粘度を薄められるという話しはワイドショ−適であるが、試してみて問題はないでしょう。オフィス勤務で運動不足には水飲むだけの療法は最適かも? 。

ガンダム一年戦争 円道祥之 宝島社文庫
 ガンダム考察ものの一つだが、余りに... 。軍事知識をベースにガンダムを解説するのだがガンダム熱中度も軍事知識も中途半端。今の中学生位に読ませるとおもしろがるかもしれないが、入門書としてはピントがずれているし、当時のファンの今の中年向けにはレベルが低すぎる。著者の年齢が中途半端なのに相応なのだろうが編集者(宝島社)の能力不足まで感じてしまう。


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