March 10, 2005

出エジプト記の秘密


出エジプト記の秘密―モーセと消えたファラオの謎著者はモロッコ出身のヘブライ語学者であるメソド・サバ,ロジェ・サバ兄弟.ツタンカーメンの一つ前の王であるアクエンアテンは,テーベからアケトアテンに遷都しそれまでの多くのエジプトの神々への信仰を止めて,唯一神アテンへの信仰を強制します.この一神教はアクエンアテンの死後廃止され,アケトアテンも廃墟となったといわれています.

一方旧約聖書にはモーゼに率いられたエジプトでは奴隷とされていたユダヤ人がエジプトから逃亡する出エジプトという記載があります.ユダヤ人として生まれたモーゼがファラオの娘に育てられ,エジプトの知識を身につけ,最後にはユダヤ人を指導する訳ですが,果たしてこのようなことが有り得るのだろうか,むしろモーゼはエジプトの高貴な家系の出身ではないか,一神教から以前の多神教に復帰した際に,アケトアテンから脱出した唯一神アテンを信仰する人々がユダヤ人の祖先ではないか,というのが著者たちの主張です.彼らはヘブライ語の聖書とアラム語の聖書,ヒエログリフを比較対照しながら,論を進めていくので途中かなり飛躍があるような部分もありますが,まるで推理小説を読むような面白さです.この時代については同じ原書房から「誰がツタンカーメンを殺したか」という本も出ていますので,合わせて読むとより一層理解が深まるように思えます.

tnakadat at 11:57 │Comments(0)TrackBack(0)clip!書評 

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