2005年01月05日

タミル語・日本語の起源

朝日新聞 2005/01/04より
日本語練習帳』でも有名な大野氏の話題です。もうそんなになりますか。タブーだった日本語の起源に挑んで、あちこちで論戦を行い、最近では無視され始めている研究のまとめだそうです。
もう時間もありませんし、後に続く人もいなさそうだから、ということもあるのかもしれません。
この考えが発表されて少したった頃、学会でタミル語(当時はドラヴィダ語とも)との類似関係を最初に指摘した(つまり、プリオリティ)のは誰かでやりあっていました。天理大学の藤原さんだったと思うのですが、今はどうしているのでしょう。
地図の赤いところは国語として、オレンジは公用語として使われている地域です。タミル語地域
日本語研究の「総まとめ」出版 大野晋さん

 国語学者で学習院大名誉教授の大野晋さんが新刊(『弥生文明と南インド』(岩波書店))を出した。 85歳にして、新たに朝鮮語とタミル語の類似性にも論を展開した。
 
「南インドからやってきたのは単に言葉ではない。文明がやってきたのだ」「今の日本に英語があふれているのはなぜですか。米国の文明が優れているからでしょう。南インドから優れた文明がやってきて、弥生時代の幕を開けた。言葉はそれと同時にやってきた」

 行事や習慣など民俗面の類似性。さらに土器に刻まれた記号や墓などの共通性。弥生時代の特徴として水田稲作、鉄、機織りの三つを挙げ、一つひとつ日本と南インドがつながる可能性を提示してゆく。
 最も論議を呼びそうなのは、「タミル語と朝鮮語」だろう。日本語だけでない、朝鮮語にもタミル語と共通する言葉が多いというのだ。具体的に112語を示し、音韻と意味の類似性を主張する。うち45語は日本語も含めた3言語で共通するという。
 「タミル語は舟にのって日本列島にやってきた。同じ海でつながる朝鮮半島にも影響があって何の不思議もない」との考えを示し、「日本語と朝鮮語は出発点を共有する兄弟関係にあると考えるべきでは、との仮説を提起したい」と語る。
 タミル語は60歳で始めた研究だった。この間、数多くの著作を発表してきた。しかし、言語学、考古学とも研究者からの反響は少なかった。「南インドの文明が3千年も前に日本に到来し、新しい時代を開く原動力になった――だれにとっても信じられない、天駆ける空想と思われても仕方ない。広範な事実を示すことで、その空想を地上のロゴスの世界に引きおろしたい。」という。
 そのうえで、「やるだけのことはやりました。南インドと日本とのかかわりの研究は、この本で一区切りにします」と研究の終結を宣言。「100年ぐらいのうちには、私の言っていることが分かる人が出てきてくれる」とも。
文化を受け入れることが何もないところに降り立ってもだめじゃないのかな、と思うのですが。受け入れる素地があって、初めて取捨選択もできるのでしょう。
3000年前のインド文明が日本に入り」、というのは、「電気製品やPCを持って電気もガスもないジャングルに入る」のと同じように考えますが、いかがでしょう。
ロマンが信念に変わってしまったのかもしれません。
 

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たまに来ますのでよろしくお願いします。
joee【joee】 at 2006年09月11日 04:40
この記事へのコメント
四面楚歌に一条の光?

http://spn02076.co.hontsuna.com/article/1735837.html
日本語の真実目 次
はじめに 

序章 タミル語日本語起源説とは何か 

第1節 タミル語とはどういった言葉なのか 
第2節 日本語タミル語起源説への批判への反論 

第一章 日本語数詞にはタミルの数詞隠語が含まれていた 

第1節 なぜ「八百万」や「千五百」が無数を意味するのか 
第2節 「かがなべて 夜には九夜 日には十日を」と火焚(ひたき)の翁の関係 
第3節 「昼夜七日」を「三夜四日」と表現する不思議 
第4節 日本語「右・左」に見るインド的要素 

第二章 瀕死の日本語タミル語由来説を蘇生させる 

第1節 タミル語動物名と日本語動物名の関係 
第2節 稲荷とキツネと油揚げはなぜセットになっているのか 
第3節 「くだもの」と「けだもの」の本当の意味
第4節 迦具土(かぐつち)が証明する日本語クレオールタミル語説の正しさ 
第5節 「前・中・後」という名の神と三女神 
第6節 東西南北 
 
第三章 万葉集、額に双六が生える歌の謎を解く 

第1節 無味な歌に過大な報酬をだすだろうか 
第2節 額に双六が生えるわけ 
第3節 鞍の上への瘡(かさ)
第4節 つぶれ石は吉野の山の枕詞に相応しい 
第5節 子祖父という名に秘められた意味 
第6節 トコトバ 
第7節 八百屋の原義 
第8節 田島守は、なぜ食べると不老長寿となる橘の実を持ち帰ったのか 

第四章 タミル語でわかる未詳語・未詳句の意味 

第1節 和歌弥多弗利(わかみたふり)
第2節 娜比騰耶幡麼珥(なひとやはばに)
第3節 日高見国
第4節 ばっちい話月経に関する語彙との対応 
第5節 雨鳥鶺鴒千鳥(あめつつちとりましとと)何故黥(さ)ける利(と)目
第6節 たまはやす武庫の渡り 
第7節 三つ栗の中つ枝のほつもり 
第8節 「とほしろし」の本当の意味 

第五章 日本語としての「阿那而恵志、而植弥志子田庭」(あなにゑしにうへしこたは)
 
第1節 伊佐奈子と伊佐那伎 
第2節 蛇神としてのイザナギ・イザナミ及び稲作技術を普及する食糧神もしくは蛇神と
    しての豊宇気大神 
第3節 豊穣のイサ・蛇のイサ 
第4節 天の沼矛とオノゴロ島 
第5節 藤原鎌足が「安見児(やすみこ)」を貰って大喜びしたわけ
第6節 河の神の生贄としての乙女 
第7節 なぜ「明日香」は飛鳥で、カスガは春日なのか 

第六章 天孫降臨と皇(すめら)と稲妻 

第1節 天孫は稜威(みいつ)の道、別きに道別きて、布団にくるまって降臨した 
第2節 稲妻とともに降臨した皇孫 
第3節 従来の解釈では見えてこない「天の浮橋」の姿 
第4節 韓国(からくに)と「膂宍の空国」 
第5節 皇(すめら)、日嗣(ひつぎ)、聖(ひじり)、厳(いつ)はすべて雷(かみなりを意味する 
第6節 稲交(いなつるび)・稲玉・稲妻つるまぬ稲と稲にあらざるイネ 

第七章 高天原の住所と邪馬薹(やまと)国の女王 
第1節 天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命 
第2節 日向の襲の高千穂峯 
第3節 猿田彦、宇受売、猿女考 
第4節 高天原の住所 
第5節 ヤのモトの国、ヤマト 
第6節 日(や)の日(や)のあさって 
第7節 ヒミコとは読めない卑弥呼の本当の意味 
第8節 古代人は古墳をどう呼び、どういう意味で用いたか 

Posted by ABC at 2006年07月27日 09:57
>文化を受け入れることが何もないところに降り立ってもだめじゃないのかな、と思うのですが。受け入れる素地があって、初めて取捨選択もできるのでしょう。

人間なら、可能ですよ。豚の群れではないのだから。
Posted by まさか at 2006年08月22日 09:37
ここで公開しているようです。
http://9102.teacup.com/tsuarat/bbs
Posted by 狸野 at 2007年04月07日 15:53
 弥生時代、大和への鉄器の流入経路は鉄器の発掘数が多い北九州からというのが定説でした。しかし最近島根県安来市を中心とした旧出雲国周辺で多くの鉄器が発掘され、大和への鉄のルートが山陰側からだという説に変わってきました。
 ということは弥生化は太平洋・瀬戸内海よりも日本海沿岸で進んでいたと考えられますがいかがでしょうか。
Posted by 鉄削 at 2007年10月08日 08:08


 
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