硫化水素による自殺が全国で相次いでいることを受け警察庁は30日、硫化水素を自殺目的で発生させる方法を紹介したインターネット上の書き込みを「有害情報」に指定し、接続業者(プロバイダー)などに削除を要請することを決め、全国警察に通知した。硫化水素による2次被害が相次いでおり、防止のため緊急に対策が必要と判断した。
同庁はネット上の情報について▽麻薬売買の情報など情報自体が違法な「違法情報」▽違法ではないものの他人を自殺に誘う情報など公序良俗に反する「有害情報」--に分類。同庁の委託でインターネット上の違法・有害情報の通報を受け付ける民間団体「インターネットホットラインセンター」(東京都港区)が違法情報については警察に通報、有害情報についてはプロバイダーなどに削除を依頼している。
これまで自殺に関する情報は、集団自殺の呼びかけなど他人を自殺に誘う情報については有害情報と位置付けていたが、自殺の方法に関する書き込みは、それだけでは他人を自殺に誘っているとまでは言えないとして指定していなかった。
しかし硫化水素自殺が多発していることを受け検討した結果、自殺のために硫化水素を発生させる方法を紹介することは、自殺を図る本人だけでなく吸い込んだ第三者にも2次被害を与えるなど、結果的に傷害行為を誘引しているとして有害情報に加えることを決めた。具体的には硫化水素の作り方を示して「簡単に作れる」「簡単に死ねる」など、製造や利用を促す書き込みを指定する。ただし、削除要請に強制力はない。【遠山和彦】
毎日新聞 2008年4月30日 21時03分(最終更新 4月30日 21時59分)