【マニラ=遠西俊洋】フィリピン政府は29日、外国人への生体腎移植を禁止すると発表した。フィリピン人の貧困層が経済的理由から腎臓を売る実態について、国内外から批判が相次いだため。違反した場合、患者や医師を含む関係者は懲役20年以上の罪などに問われるとしており、死体腎と合わせ同国での外国人への移植は事実上閉ざされることになる。
同国保健省は省令を改め、5月19日から実施する。すでに3月から、同国の臓器移植医学会が外国人への手術を無期限で停止しており、駆け込み的な措置は難しい。死体腎移植についても現行通りフィリピン人を優先するという。
同国で腎移植手術が可能な病院は24あるが、同省は省令改正後は監視を強める考え。手術が発覚すれば関係者は臓器売買法違反に問われ、懲役20年以上と100万ペソ(約265万円)以上の罰金が科せられる。ドュッケ保健相は「アロヨ大統領の任期中(2010年6月)は新ルールが適用される」との見通しを示した。
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