平成19年2月26日
平成19年2月25日(日)、久間防衛大臣は、訪日した金章洙(キム・ジャンス)韓国国防部長官との間で、日韓防衛相会談を実施したところ。概要以下のとおり。
金長官より、北東アジアは戦略的に重要な地域であり、北朝鮮の核問題はこの地域にとって深刻な問題であるところ、2月13日の六者会合における合意を、非核化に向けた第一歩として評価しており、日本が、国内的に難しい中、合意文書作成に協力したことを評価している旨発言。
久間大臣より、北朝鮮の核問題は大きな関心事であり、六者会合を通じて解決していきたいと考えているが、日本は、拉致問題も併せて解決すべきと考えている旨発言。
久間大臣より、中国は大事な隣国であり、昨年11月の日中防衛当局間協議で、曹剛川中国国防部長の訪日実現や中国艦艇の訪日の早期実現を含めて、日中防衛交流を推進していくことで一致したことを紹介。また、1998年2月に、遅浩田中国国防部長が訪日し、当時の久間長官も同年5月に訪中して以降、ハイレベル交流が途絶えていた時期でも制服間の交流を進めてきた旨説明。昨年11月に訪日した章沁生中国総参謀長助理(現:副総参謀長)から、ハイレベルの交流も必要であるが、次の時代を担う若い世代との交流も重要であるとの説明があったので、中国側も同様の認識であると感じた旨発言。他方、中国の国防費の増加や軍事活動の活発化には注視しており、日中双方が透明性を高め、疑心暗鬼をなくしていくことが相互理解につながる旨発言。また、台湾海峡問題の平和的解決という日本の基本的立場については中国側に機会を捉えて述べてきており、2005年2月の日米の共通戦略目標でも米と認識が一致している旨説明。
金長官より、韓国も中国との関係を重視しており、また、六者会合において中国は非常に重要な役割を果たしており、日中韓がこの問題で連携する必要がある旨発言。
久間大臣より、防衛省への移行及び本来任務化に際して、「専守防衛」、「節度ある防衛力整備」、「非核三原則」、「軍事大国とならない」といった防衛政策の基本は変わるものではなく、今後ともこの点をアジアの国々に説明していきたい旨発言。また、昨年5月に在日米軍の兵力構成の見直しについて最終合意し、米軍再編を円滑に進めるための法案を提出したところ、基地が集中している沖縄等の負担を減らすとともに、抑止力を維持していくことを両立させる必要がある旨説明。さらに、イラクの復興や安定のためには、航空自衛隊による輸送活動に加えて、ODA等様々形で、日本が協力を行っていく必要がある旨発言。
金長官からは、日本が「専守防衛」や「非核三原則」等を維持していくのは正しい方向性である旨発言。
金長官から、現代戦に対応するため、指揮能力の向上、兵力削減等により、韓国軍の体制を変えていく必要があり、これを安定的に行うための国防改革法が成立したところ、この内容は各国にも説明している旨発言。また、2月23日のゲーツ米国防長官との会談で、戦時作戦統制権を2012年4月17日に返還することで合意した旨説明。さらに、韓国軍のアフガニスタンやイラクでの活動状況及びレバノンへの韓国軍の派遣予定(6〜7月頃)につき説明。
久間大臣より、日韓防衛当局間の既存の緊急連絡体制について維持していく必要性を述べるとともに、中国との間でも緊急連絡体制について検討している旨発言。さらに、統合幕僚監部運用部長と韓国合同参謀本部との間で新たに緊急連絡体制を取っていくこととなったことを嬉しく思う旨発言。金長官もこれに同意。
久間大臣より、防衛施設を巡る問題に関して、両国担当部局間で意見交換を行うことにつき、事務的調整が進められているが、有意義なことであり、防衛施設庁の統合後もこれを引き継ぐ部局と韓国国防施設本部との間で交流を行いたい旨発言。金長官も、関係部局間の交流は有益である旨発言。
金長官より、久間大臣の訪韓につき、提案があり、久間大臣より、謝意を表明。
今後とも、人的交流、部隊訓練等、両国間の防衛交流を進めていくことで合意。