県内の医師総数は減少してはいませんが、人口当たりの医師数が全国的に少ないうえ、特定の地域、診療科で少ないという傾向がみられます。このため、地域医療に格差が生じる恐れが指摘されています。
県が06年8月に病院を対象に実施した「医師確保対策にかかる実態調査」のデータがあります。06年と、医師臨床研修の新制度導入前である03年との医師数の推移を調査していますが、圏域によって偏りがあることが示されました。
例えば、常勤医では湖南が15・1%増、大津9・0%増などとなっていますが、19・1%減の湖西など3圏域で減少していました。また、前回紹介したように、診療科別では産科や小児科などの診療縮小が進んでいることがうかがえました。
この傾向は全国的にみられ、これまでの医療体制の根幹が揺らぐ状態に至った原因として、医療費削減を狙った医学部の定員削減が挙げられています。また、新しい臨床研修制度が導入されことにより、従来は出身の大学病院が多かった研修先を自由に選べることになったため、地方を中心に医師が減るという事態が生まれたといわれています。
一方、地域医療のあり方を検討する県地域医療対策協議会は昨年、中間報告を知事に提出しました。
この報告でも、医師数の地域的偏りと特定の診療科の医師不足といった現状が指摘されました。そのうえで、医師不足解消に向けた方策として、子育てで診療から離れた女性医師が復帰しやすい環境づくり▽研修医が県内に定着するプログラムづくり▽適切な医療のかかり方などについての県民理解の普及--などの提言がなされました。(係から)=この項続く
【常勤医】 【非常勤医】
湖南 +15.1% 湖南 +27.9%
大津 + 9.0% 東近江+22.8%
東近江+ 8.6% 湖北 +18.2%
湖北 + 5.5% 大津 +13.1%
甲賀 - 3.1% 湖西 +10.6%
湖東 - 6.0% 甲賀 + 6.5%
湖西 -19.1% 湖東 -22.6%
毎日新聞 2008年4月29日 地方版