道路を問う
道路建設と巨額財源、そのあるべき姿を考える
【社会】後期高齢者医療の改善に課題 減免拡充なら混乱も2008年4月29日 10時53分 後期高齢者医療制度をめぐり、福田首相から「国民目線での対応」を求められた厚生労働省は28日、改善点の検討を始めた。しかし、法改正を伴う制度そのものの見直しは困難。保険料減免措置の拡充などは可能だが、分かりにくい制度がさらに複雑となり、新たな混乱の引き金となる恐れもある。 75歳以上の約1300万人が加入し今月発足した制度は、都道府県ごとに全市区町村で設立した広域連合が運営する独立した医療保険。急増を続ける高齢者医療の負担と給付の関係が整理された半面、保険料の間違いや保険証の遅配といった事務的ミスへの不満をはじめ、75歳を境に医療制度を切り離された抵抗感や必要な治療が受けられなくなるといった不安が根強い。こうした声を背景に、民主党など野党は完全廃止を主張する。 しかし、実際に制度が動きだした今、政府・与党が独立保険をやめて元に戻したり、加入年齢を見直したり、制度の根幹を変更するのは困難といえる。 できそうなのは、保険料減免措置の拡充。子らの扶養を受けて企業の健康保険組合などに加入していたケースでは新たな保険料負担が必要となったが、9月までは全額免除、10月から来年3月までは本来の額の1割負担に抑えられており、こうした措置の延長が考えられる。また、低所得者向けの措置の拡大も一案だ。 ただ、扶養家族への減免措置を続ければ、それ以外の不公平感が強まる。低所得者に追加の措置をしたとしても、従来、国民健康保険に加入していたケースでは市区町村が独自の減免を実施していたところもあり、効果は未知数だ。 年金からの保険料の天引きについても反発は強いが、厚労省幹部は「天引きをやめれば徴収コストが増えるだけ」と否定的。全員が満足できる保険料や制度にするのは至難の業で、厚労省側は「何をどう改善することになるのかまだ見当がつかない」としている。 (中日新聞)
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