再送:松下の09年3月期当期利益予想は過去最高、薄型テレビなどがけん引
[東京 28日 ロイター] 松下電器産業(6752.T: 株価, ニュース, レポート)は28日、2009年3月期連結業績予想(米国会計基準)について営業利益が前年比7.8%増の5600億円、当期利益が同10.0%増の3100億円をそれぞれ見込んでいると発表した。
円高、原材料価格の高騰などのマイナス要因はあるが、プラズマと液晶による薄型テレビなど主力商品の販売拡大を図り、当期利益は2年連続で過去最高更新を狙う。
営業利益5600億円は、ロイターエスティメーツによる主要アナリスト18人の予測平均値5279億円を上回った。売上高は前年比1.4%増の9兆2000億円、税引き前利益は同14.9%増の5000億円の見通し。売上高も過去最高を見込む。
09年3月期の想定為替レートは、1ドル=100円(前年実績は114円)、1ユーロ=155円(同162円)に設定。円高によるマイナス影響は営業利益段階で460億円を見込む。また原材料費の高騰で360億円のコストアップを想定している。会見した大坪文雄社長は「原材料価格の高騰や為替の変更など経営環境は厳しい」としながらも、「世界全体をみて厳しい環境ばかりでない。北京五輪という最大のビジネスチャンスも控えおり、悲観一色になる必要はい」と強調した。
<薄型テレビは46%増の1100万台計画>
主力の薄型テレビは、08年3月期出荷実績750万台に対し09年3月期には46.6%増の1100万台を見込む。内訳は、プラズマが600万台(前年実績425万台)、液晶が500万台(同325万台)。主戦場の米国市場は、景気悪化の影響が懸念されているが、「AV(音響・映像)の(09年3月期)第1・四半期は極めて順調な注文が入ってきている。プラズマなど主要商品の商品力が大手販売業者に見直されている」と説明した。
08年3月期の薄型テレビの出荷台数は当初計画の900万台には150万台届かなかった。ただ、出荷金額ベースでは「計画通りにやれた」(大坪社長)としている。2010年3月期までの中期経営計画「GP3」では、2010年3月期に37型以上の薄型テレビの世界シェア25%を目標としていた。10年3月期で5000万台の需要を見込み、1250万台を出荷して目標を達成するシナリオだったが、10年3月期には37型以上の世界需要が6200万台に増えるとして、25%の同シェアには「少し手が届かない」(同)という。
薄型テレビのほか、携帯電話、デジタルカメラ、エアコン、DVDレコーダーなどの販売拡大を見込む。大坪社長は「成長戦略の大きな柱は海外での販売拡大で、けん引するのが(中国やロシア、中近東などの)新興諸国」と語った。国内限定のビジネスとなっている携帯電話は08年3月期実績の728万台から09年3月期には824万台への拡大を狙う。今後は、海外市場への再参入にどう取り組むのかも課題となりそうだ。
同時に発表した2008年3月期連結業績は、営業利益が07年3月期比13.0%増の5194億円、売上高が同0.4%減の9兆0689億円、税引き前利益が同0.9%減の4349億円、当期利益が同29.8%増の2818億円だった。薄型テレビやデジタルカメラ、エアコン、携帯電話などが好調で、当期利益は22年ぶりに過去最高を更新した。
08年3月期の年間配当額は1株当たり35円とする。09年3月期は45円を予想している。また、発行済み株式総数に対して2.0%に当たる5000万株、1000億円をそれぞれ上限とする自社株買いも発表した。取得期間は4月30日から09年3月下旬まで。
水戸証券投資情報部長の松尾十作氏は、松下の業績予想について「想定為替レートを1ドル=100円に修正しながらも、09年3月期連結当期利益は連続2ケタ増益見通しであり、さらに自社株取得も発表し、言うことがないくらいの決算になった。ポジティブ・サプライズと言えよう。為替が現状のまま推移すれば、休み明けに人気化する可能性は高い」と述べた。
<三洋電機との提携案を否定>
大坪社長は会見で「経営再建中の三洋電機(6764.T: 株価, ニュース, レポート)と松下が資本・業務提携する案が浮上している」する同日付の一部報道に対し、「そういうことを検討している事実は全くない」と語った。
(ロイター日本語ニュース、浜田 健太郎記者 取材協力 伊賀 大記記者)
*自社株買いと市場関係者コメントを追加し再送します。
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