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【コラム】娘を100ウォンで売り飛ばす母親(下)

 チャン・ジンソン氏はまた次のようにも書いている。「父の目を治すためにコメ300石と体を売ったイン・ダンスの昔話があるが、消えていく命のために死をも恐れないイン・ダンスのようにはなれず、親孝行ができないこの国の女たちは…」。この1節からは、真夜中に豆満江(中国名:図們江、中朝国境の川)を渡って体を売りに行く北朝鮮人女性たちの悲惨な現実が読み取れる。こうした悲劇的な状況を目の当たりにしながらも、統一部、国家人権委員会、北朝鮮専門家を自称する人々、知識人と言われる人々は、豆満江を漂う死体に対し、わずかばかりの哀悼すら捧げたことがあるのか疑わしい。

 これは若者たちも同じことだ。北朝鮮人権運動を行う大学生たちの悩みは、若い世代の無関心と全国教職員労働組合(全教組)式の「北朝鮮に対する誤解」だという。北朝鮮の住民たちが飢えで肉身を失っていく間に、韓国の若者たちは食べ過ぎで魂のなくなった肉身をはぐくんでいるわけだ。

 チャン・ジンソン氏の痛哭は途絶えることを知らない。「救済米という形で送られてきても、物乞いする人々には目もくれず、先軍を叫ぶ所に支給され、そのコメを食べて力を得た先軍…独裁者の命だけを救っている。人道主義の裏切り、赤十字の傲慢ぶりが分かる」。

 金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権式の太陽政策では結局、飢えていく人々を黙殺した者だけが救われるに過ぎなかった。特に李明博(イ・ミョンバク)政権が耳を傾けるべき内容だ。政界と統一部の「太陽政策賛成派」は、彼らの政治的必要性によって今後も政策を進めていくだろう。しかし、「このままでは決して終わらない」と固く誓った詩人の戦いは、今後も真実だけを引き続き描写し続けることだろう。

柳根一(リュ・グンイル)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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