事件・事故・裁判

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

統合失調症:最高裁「精神鑑定、尊重を」

 統合失調症の被告の責任能力が争われた事件の上告審判決で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は25日、「精神医学者の鑑定は、公正さに疑いがあったり前提条件に問題があるなどの事情がない限り、十分に尊重すべきだ」との初判断を示した。そのうえで心神喪失と判断した精神鑑定を採用せずに被告を有罪とした2審・東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。

 判例では、無罪となる心神喪失や刑が減軽される心神耗弱に当たるかどうかは、精神鑑定のほかに生活状態や動機なども総合的に考慮して裁判所が判断する。今回の判決は、判例を踏まえつつ、責任能力の判断にあたって精神鑑定結果を重視するよう求めたものだ。市民が参加する裁判員制度を見据え、裁判員が短期間で判断しやすい基準を示したといえる。

 この事件は、03年に東京都北区で元雇い主の男性を殴って死なせたとして塗装工(39)が傷害致死罪で起訴された。1、2審で計2回実施された精神鑑定はともに心神喪失と結論。1審は鑑定に基づき無罪としたが、2審は「犯行態様に異常はなく、当時の状況も詳細に記憶している」と鑑定結果を採用せず懲役3年を言い渡した。小法廷は「鑑定の信用性は高く、2審が挙げた事情では責任能力があったとはいえない」と指摘した。

 東京都渋谷区で夫を殺害し遺体を損壊したとして、殺人罪などに問われた(三橋、み、はし)歌織被告(33)に28日、東京地裁で判決が言い渡されるが、公判では鑑定医2人が「殺害時は心神喪失」と報告しており、今回の判決が影響を与える可能性もある。【北村和巳】

毎日新聞 2008年4月25日 23時45分

関連記事

4月25日統合失調症:最高裁「精神鑑定、尊重を」

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

 


おすすめ情報