キャリアな女のためのアメリカ大学院留学ガイド 6
留学にいくらかかるのか、は現実的な問題である。アメリカ留学最大のネックは、語学を除けば費用だろう。で、「いくらかかりますか?」といわると答えるのは難しい。人によってかなり違うからだ。というのは、アメリカの大学院では返還不要の奨学金が結構充実しているからである。博士課程で留学する人の場合だと奨学金を貰わずに行くというのはあまりない、といっていいくらいだ。だが、マスターの場合はほとんど自費になることもある。特にMBAなんかは、先方もドル箱だと思っているから、相当な出費を覚悟しなければならないだろう。 もし、全く奨学金がもらえない場合は2年の修士課程を終えるために、10万ドルくらいつまり一千万円くらい見ておくほうがよい。アメリカ留学で、就学ビザ発行の書類を貰うためには、学費や生活費を確かに支払うことができる、という証明書を提出することが求められる。つまり、銀行の残高証明が必要なのである*注。修士の場合、これがおよそ10万ドルである(大学によって違う。これは平均的な私立の場合)。内訳は、授業料が半期でおよそ1万−1.5万(2年で4−6万)+生活費(年1万〜)である。
留学の準備 2
注:細かいことだが、銀行で英語の残高証明を出してもらうには一通あたり数千円の費用が必要。だが、郵便貯金なら只で発行してくれる(本当。民営化前の話)。
一千万というのはかなりの金額ではあるが、このサイトの入室条件を満たしてここまで来た貴女がひるむほどの金額ではないはずだ。貴女はブランドもののバッグや海外旅行は諦めなければならないかもしれない。だが、貴女の将来には、そんなものとは比較にならない価値がある。蓄財は自分の内側にしなさい、というのは私の実家の母の教えであるが、自分を、自分の将来を信じて思いきって投資したい。カバンなんか後からいくらでも買える。「いきなり黄金伝説」ばりの節約生活をしてでも、今しかできないことに金を使えといいたい。くりかえす。貴女がこのサイトの入室条件を満たしているならば、貴女には、自分の将来に一千万を投資価値がある。 とはいうものの、ない袖はふれない、という向きもあろう。そういう人は、奨学金にすがるしかない。有名なのは言わずと知れたフルブライトだろう。フルブライトで渡航する場合、普通の就学とはビザが違うので、様々な制約があって案外ややこしいが、金額から見て一押しなのは間違いない。ただ、どちらかというと“文系”むけのグラントなので、使いようのない人もいるだろう。
奨学金は他にもいろいろある。大学にもよるが、リサーチアシスタントという名目で、特になにもしなくても院生に給料をくれる大学さえもある。Tuition remission をくれる大学はもっと多い。諦めずにこつこつ探してみよう(大学に直接聞いてもよい)。もし奨学金がもらえなくても、Teaching
Assistant などをして稼ぐという方法もある。これは大変ではあるが、とくに将来、教職につきたい人にとっては、良い経験になるのでお勧めである。私もMIT(マサチューセッツ工科大学)でTAの仕事をもらっていたが、このときの経験は貴重な財産になった。 資金の確保は、留学の最低必要な条件である。キャリアな女は親や亭主に頼ってはいけない。だから方法は2つ。@ 自分で用意する、か、A 奨学金を貰う(つまりそれだけ優秀と評価されるようにがんばる)である。