キャリアな女のためのアメリカ大学院留学ガイド4 学生も真剣 アメリカの大学院のなにがよいといって、学生の態度が真剣なことであろう。日本では、授業が休講になると喜ぶ学生がいたりするが、アメリカでは、学期に2回も休講があると、学生から文句がでる。なにしろ、アメリカの大学院の学費は高い。しかも、授業料は、コマ数あたりいくら、というように決まっている。値段は週に一コマ(120分くらい)の授業を半年とると一つにつき2000〜2500ドルくらいである。週に3つとれば半期で6000〜8000ドル、4つとれば800〜10000ドルという見当になる。半年(1セメスター)の授業回数は15回くらいだから、一回あたりのお値段は日本円で一万円を超える。しかもこれには機会損失は含まれていない。アメリカの院生のは授業料を自分で支払っている人も多いので、とにかく勉強してモトを取ろうとするのである。余談だが、日本の大学の授業料は、年間で定額となっており、受講した講義の数には依存しない。これが微妙に単位あたりのコスト意識を鈍らせているものと思う。 アメリカの大学院のもう一つのメリットは留学生が多数いて、しかもそれがかなり優秀であることだ。アメリカの学生よりも、留学生のほうがよほど優秀であるケースもままある。私はアメリカの大学院で、ロシア人、ケニア人、インド人、中国人のクラスメイトを持ったが、寮やパーティーなどで話しをした留学の国籍はさらに多彩であった。日本の大学院にも留学生はいないではないが、日本の学生より優秀である例はそう多くはない。日本は文部省がかなりの額の奨学金を出しているので、人数はそれなりに集まるのだが、現状では日米の留学生の質の差はかなり歴然としているといわざるを得ない。別項にも書いたが、日本の奨学金とアメリカの奨学金は考え方が異なっている。日本の奨学金は、機会均等のために出されるが、アメリカの奨学金は優秀な人物に出される。したがって、アメリカには優秀な学生が集まり、日本にはお金がほしい学生が集まりやすい(ひどいのになると、奨学金を母国に送金していたりするらしい)という結果となる。アメリカにいると世界のクリーム*と席を並べることができる。このメリットは計り知れない。各国の優秀な学生から刺激をうけるというチャンスは残念ながら日本ではなかなか得られない。楽しくお食事でもして、世界の料理を教えてもらう、という程度なら良いかもしれないが。 クラスが厳しいのはよいことだ。クラスメイトが優秀なのもよいことだ。キャリアな女の大学院留学は、日本で大学に落ちた政治家の息子がカッコをつけるための留学や、遊び半分の語学留学とはわけが違う。また、自分探しの旅でもなければ充電期間でもない。多額の費用と時間を犠牲にした上、今までのキャリアをなかば棒に振ってする留学である。なにがなんでも実力を身につけ、学位をもぎとり、キャリアアップにつなげなければならない。崖っぷちの大博打なんであるからして、Competitiveなところで自分を磨かなければ意味がない。優秀な学友にあえなければ話にならない。自分のために大学を選び、教授を選び、友達を選びたまえ。それだけの覚悟がない人はすぐにこのページを閉じることだ。 *クリーム 極めて優秀な人物、あるいは最上層の人物のことを英語で(フランス語でも)cream という。上に浮くから。日本になら、さしずめ「湯葉」というところか。なぜアメリカ? (3)