キャリアな女のためのアメリカ大学院留学ガイド 2
たとえば図書館
このページは、「アメリカ」大学院留学ガイドである。なぜアメリカか?理由は2つある。一つは管理人がアメリカと日本しか知らないから。もう一つは、それなりに自信をもって勧められるからである。実は私はアメリカなんか嫌いである。大量破壊兵器があるとかいい加減なことをいって、イラクに劣化ウランをまいてくるなんて言語道断だと考えている。にもかかわらず、アメリカ留学はオススメなのである。なぜか
理由は、まず第一に、大学院の学位とともに英語の能力というオマケがもれなくついてくること。これはキャリアな女のキャリアパスにおいて武器にはなっても邪魔になることはない。これが日本の大学院との違い。理由その二、これが重要なのだけれど、アメリカは、大学での勉強・研究に向いた国といえることである。意外に思うかもしれないが本当である。いくつかの例をあげよう。
たとえば図書館。アメリカの大きい大学の図書館は開館時間が長い。MITなんか24時間開いている。もちろん週末もあいている。これはとにかく勉強しようとする人には大きな武器になる。これに比べると日本の国会図書館はなんともなさけない。朝9時から夜5時まで、しかも、なぜか真ん中に一時間の昼休がある。週に2回休み。これは図書館というより「国会書庫」と言ったほうが相応しい。開いている時間より閉まっている時間のほうがずっと長いのである。大阪の中の島図書館などは「ここで勉強するべからず」と書いてある。図書の閲覧はできても、自分で持ち込んだ本は読むなということだろうが、勉強禁止の図書館がある国なんて日本のほかにあるのだろうかと思う。
アメリカの大学の図書館は、だいたい誰でも入れる。入り口のところでIDのチェックなんかない。私大であってもだ。だから、自分の探している論文があれば、どこの大学の図書館でも勝手に入って閲覧ができる。さらに便利なことに、アメリカの図書館は、閲覧のために棚から出した本を自分で本棚に返す必要がない。30冊、50冊と本や雑誌を引っ張りだしてきてコピーしても、本はそのままコピー室に置いておけばよいから、メチャクチャ効率的である。
検索システムも整っている。図書館によっては、とても優秀な司書がいることもある。私のいた大学には、「貿易と食品の安全、に関する最近の資料、ないですか?」などと聞きさえすれば、たちどころに、本、論文はもちろん、新聞の切り抜きまでだしてくれるという魔法使いのような司書さんがいたものだ。私は、「えーと、温暖化関係の本で、A4サイズで、赤くて、このくらいの厚さで。。。」といってタイトルも忘れていた本を探しあててもらったことさえあるが、日本の図書館でそういうサービスのできる人材にはお目にかかったためしがない。
キャリアな女のアメリカ留学は、「英語が好きだから」するものではない。英語は道具、身につけるのは、英語以上のもの、というのがこのページの読者の心得として相応しい。ちなみに、日本で英文科の大学しか卒業していない人は、アメリカへの大学院留学は難しい。なぜなら、大学院サイドからみれば、「英語を勉強しました」というのでは何も勉強しないのと同じ、という印象になってしまうからだ。英語はできて当たり前、大学で英語以外に何を学んだか、が入学が許可されるか否かの重要な判断材料となる。ちなみに英文科卒だと入るのが難しい職種に国連職員がある。
とはいえ、ある程度、英語ができなければ、アメリカの大学院になどいけるわけがない。もちろん、留学中に少しは上達するものの、20台後半より上でのキャリアアップ留学では、時間も限られているし、子供のような言語習得能力がのこっているわけでもない。第一入学を許可されない。やはり一定のレベルに達するまで日本で勉強しておくのが効率的というものだろう。
比較的良く知られていることだが、アメリカの大学院に留学生がアクセプトされるには、TOEFLで600点が目安となる。留学を考える諸君たちには、とりあえず600点を取っておけ、といいたい。TOEFLは難しい試験ではないが、600点をとるのにはそれなりのテストスキルがいる。つまり試験勉強をしなければならない。これができるかどうかは、留学を真剣に考えているかどうかの試金石となるだろう。
ただし、TOEFL 600点は、あくまで目安にすぎない。TOEFLは必要十分なスキルをうまく反映する試験ではないからだ。500点くらいでも、実際の授業にはついていける人もいるだろう。実は、専門分野に優れた人には、英語の壁というのは意外に低いものなのだ。一方、TOEFLには話す試験がないため、650点であっても、うまく話ができず、引きこもってしまう人もいる。TA(Teaching
Assistant)をしていて学生から文句がでたりもする。
どうしても600点に届かない人でも、諦めずに大学を説得してみよう。「夏に英語の専門クラスで鍛錬をするからちょっと猶予をくれ」でもいいし、「専門分野で非常に優れているので、なんとかなるはずだ」でもいい。交渉しても損にはならない。案外「そうかな」と思ってくれる教授もいたりするのがアメリカなのだ。
ともあれ、留学を思い立ったらすぐ英語。これは大原則である。