| 理屈で人は動かない!だからー | ||||
| 人は「怠けるカメ」と思え | ||||
| わが社には、「倍と半分の法則」というのがある。モータメーカーとしては後発組で、実績も信用もない。もちろん人手もないし、設備もなければ資金もない。こんな、ないないずくめの会社が、大手の同業他社と競争して1つでも勝てるものはないかと考えたときに、思い浮かんだのが時間であった。1日24時間というのは、国内のどんな大企業でも、海外の企業であろうと条件は同じだ。この時間を有効に活用することさえできれば、何とか勝負になるのではないか。ここから生まれたのが「倍と半分の法則」であった。 つまり、他社が8時間働いているのなら、わが社は倍の16時間働く。そうすれば、他社のセールスマンが得意先を1回訪問する間に、われわれは2回訪問できる。また、他社の納期が2ヶ月かかるところなら、われわれは1ヶ月で納めることが可能になる。要するに、求められるものは半分で、与えるものは倍というのがこの法則の精神で、わが社の伝統としていまも受け継がれている。 この考え方は、ほとんど苦労らしい苦労もしないで育ってきた、いまの若い社員の忍耐力を養うときにも応用できる。忍耐力、辛抱というのは時間との戦いでもある。 「ウサギとカメ」の話がある。足の速いウサギとのろまなカメが駆けっこをして、油断したウサギが途中で眠ってしまい、休みなく歩み続けたカメが追い抜いて勝利したという誰でもご存知の物語だが、現実にはウサギが眠っているときに同じように眠ってしまうカメが大多数なのだ。だから、人を動かすにしても、動かす前に「怠けるカメ」を「怠けないカメ」にしておかなければ徒労に終わってしまう。 最初は、始業時間よりも5分でも10分でも早く出勤させるようにする。5分早く出てこられるようになったら、もう5分早くする。さらにもう5分、もうあと5分だけと自覚ができるまで繰り返していく。わたしの経験からいっても、これが意外と効果がある。 やる前には、仕事が残っていてもさっさと帰ってしまっていたような者でも、「もう5分」「あと5分」を続けていると、半年ぐらいで自主的に残業をやるようになる。あるいは、根気が持続せずにいろんな物事を途中で投げ出してしまっていたような者でも、やりかけたことは最後までやり通すようになる。 できるだけ若いうちにこういった訓練をやらせておくことが、「怠けないカメ」の集団をつくり上げていくおきなポイントである。 次回更新日:2005.08.09 |