道路を問う
道路建設と巨額財源、そのあるべき姿を考える
【国際】憶測呼ぶ『北のシリア核協力』情報 北へ圧力か譲歩か 米政権に路線争い2008年4月28日 朝刊 【ワシントン=立尾良二】米政府は北朝鮮が核計画を申告する前に、同国によるシリア核開発支援の情報開示に踏み切った。その意図については(1)保守派が北朝鮮への譲歩阻止(2)申告を正確に行わせる圧力(3)申告をあいまい決着させる地ならし(4)シリアやイランへのけん制−など、さまざまな憶測を呼んでいる。 大幅に遅れている核計画申告に関連し北朝鮮は、核拡散活動やウラン濃縮計画を否定してきた。米朝当局者は「完全で正確な申告」から「検証手段の確保」に条件を後退させ、あいまいな形で決着させようとしており、チェイニー副大統領や保守派が強く反発している。 米政府関係者は、昨年九月のイスラエル軍機によるシリア原子炉空爆後、同国の報復による中東地域の不安定化を懸念して情報を隠したと説明する。ただ「情報開示しなければ情報機関の予算を認めないと議会から圧力があった」という。ペリーノ大統領報道官は「議員二十二人には昨年、秘密厳守で説明した」と弁明した。 一方、北朝鮮の核拡散活動について「国務省は過去の情報を開示して、もはや脅威ではないとアピールしようとした」との指摘がある。ただ、マコーマック同省報道官は「北朝鮮がどう出るか分からない」と述べており、情報開示には賭けの要素もあった。 情報開示の影響は大きい。米議会では「ブッシュ政権の北朝鮮政策は信用できない。六カ国協議で合意しても議会の承認は難しくなった」(ホイクストラ下院議員=共和党)と批判が起きている。保守最強硬派のボルトン前米国連大使は、「北朝鮮が二枚舌をどれほど使ってきたか判明した。六カ国協議はもはや無駄だ」と述べた。 米シンクタンク、戦略国際研究センターのカール・ベーカー氏は「北朝鮮との核交渉を前進させるために必要な情報開示という側面と、その交渉を妨害する保守派の陰謀という側面がある。政権内の争いであり、六カ国協議の進行は遅れる」と予測した。 <北朝鮮の核拡散> 米政府は24日、議会上下両院に非公開で、昨年9月にイスラエル軍機が空爆したシリアの施設について、北朝鮮の支援で建設中のプルトニウム生産可能な原子炉だったとビデオ映像などを使い説明。その後、大統領報道官が「(この原子炉は)平和利用目的ではなかった」との声明を発表した。 (外報部)
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