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長野聖火リレー 異様な厳戒に高揚感なく

 長野市での北京五輪聖火リレーが、物々しい警備の壁に守られほぼ予定通りに終わった。平和と友好ムードを盛り上げるはずだったが、高揚感はなく、異様さが目立った。

 第一走者は北京五輪野球日本代表監督の星野仙一さんが務めた。警察官らが伴走した。次のランナーに無事聖火をつないだ星野さんは「きちっとバトンタッチできてよかった。北京に向けて頑張るだけ」と話した。タレントの萩本欽一さんが走行中には物が投げ込まれた。沿道などで小競り合いもあり、けが人や逮捕者が出た。

 騒然とした聖火リレーの原因は、中国政府のチベット自治区で起きた暴動をめぐる強圧的な姿勢にある。英国やフランス、米国などでの聖火リレーも抗議にさらされた。各国は中国のチベット暴動鎮圧を人権問題として批判を強める。

 中国は北京五輪に国の威信をかける。聖火リレーは五大陸を巡る壮大なルートを設定した。大国ぶりを誇示する狙いがあるのだろう。だが、行く先々で抗議行動に遭い、特にパリでは大混乱した。中国国内では、逆に北京のフランス大使館やフランス系スーパーに対する抗議行動が多発した。インターネットには「中華民族の誇りを守れ」などの書き込みがあふれ、民族主義が高まる。平和の祭典であるはずの五輪に、過度の国威発揚や民族主義はそぐわない。

 チベット問題で欧米諸国や日本は、インドに亡命し「高度な自治」を求めるチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世との対話を中国政府に促してきた。しかし、中国政府はダライ・ラマを「祖国分裂主義者」と非難し続けた。

 ここにきて、中国政府の態度に軟化の兆しが見えだした。中国国営の新華社通信が、中国政府の関係部門がダライ・ラマの私的代表との「接触と協議」を行う準備を進めていると伝えた。対話進展の条件としてダライ・ラマ側が「祖国分裂活動や暴力の扇動」を停止し「北京五輪を妨害し破壊する活動を実際にやめること」を要求している。

 先行きは楽観できない。中国当局のダライ・ラマへの激しい非難によって、国内の対ダライ・ラマ感情は急速に悪化しているだけに実のある対話につなげられるかどうか、予断は許さない。国際世論に配慮した対話のポーズとも考えられる。

 各国の聖火リレーへの抗議を通して、中国政府は国際社会の理解を得る重要性に気付く必要があろう。異様な厳戒を五輪本番まで引きずってほしくない。


指導要領前倒し 教育現場の混乱が心配だ

 文部科学省は、三月に告示した小中学校の新学習指導要領を二〇〇九年度から、理数を中心に一部前倒しする移行措置の概要を公表した。意見公募を経て五月末―六月上旬に正式決定する運びである。

 学力低下批判を受けた「ゆとり教育」から路線転換する新指導要領では、約三十年ぶりに授業時間数や学習内容が大幅に増える。小学校が一一年度、中学校が一二年度の完全実施に向け、移行措置で円滑な導入を図ろうという狙いだ。

 前倒しするのは、小学校では現行指導要領で削除された台形の面積の求め方(五年算数)などで授業時間数は各学年で週一時間増える。移行措置期間中の授業時間数増は初めて。三年理科にイオンなどが復活する中学校では数学と理科の授業時間数を段階的に増やすが、選択教科や総合的な学習の時間を減らすため、総授業時間数は完全実施まで現行と変わらない。このほか、小中とも従来の学年より低学年で学習する内容も多い。

 新指導要領は、現行の自ら学び自ら考える「生きる力」の理念は継承し、知識・技能を活用する力を身に付けさせることを掲げる。しかし、授業時間や学習内容を増やしさえすれば、狙い通りに進むかは疑問だ。

 懸念されるのが教育現場への負担である。教材づくりへの工夫が求められる。授業についていけない子も増えよう。教育効果を挙げるためには、教師が子どもたち一人一人と向き合い、学ぶ意欲を高めるなどきめ細かな指導が欠かせない。

 そのためにも教員の増員が必要だが、厳しい財政状況もあり不透明だ。教育環境の整備もなく多様な対応を押しつけられたのでは、現場は混乱するばかりだ。新指導要領の理念の達成はおぼつかない。

(2008年4月27日掲載)
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