皆さんが地道にお稽古しているこの「能」には、全てのことを弭化する力があるのです。望んで能を始める方だけでなく、言霊を通じての救済をする救霊師に、「必ず東州宝生会に入るように」と話をしているのは、そういう理由があるからです。
そして、次に第二の意味です。みんな、それなりにめちゃくちゃ忙しいですよね。僕ほど忙しい人間はいないと思いますが、それでもみんなも忙しい。いろんなことがあって、疲れてしまうこともあるでしょう。
でも、忙しいからこそ、あらゆる環境を乗り越えてチャレンジしていかなければ、忙しさに負けてしまうのです。それでは、神様に喜ばれるようなお取り次ぎの人にもなれません。己を甘やかしてしまったら、年をとってから、たいした楽しみや醍醐味のない人生になってしまうのです。時間とは、あるかないかではなく、作れるか作れないかの問題なのです。ところで、楽しいだけではいつか飽きがきます。どこかで大変さや厳しさがあって、困難を乗り越えて得られる感動を体験することができるのです。それがないと、やがて飽きて続かなくなってしまう。思い通りにならないからこそいいんです。

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