「颯々の声」は、「さあさあやるぞ!」という民の声です。いきいきと頑張る民衆の声を、住吉の神様が楽しむのだ、という意味。また、「颯々の声」は、「さあ作の声」であり、農業に積極的に取り組む民の声を、神が楽しむという意味でもあります。そういう世が早く来ないかと待っているのだよ、という意味なのです。
能の中には悲劇的なものもあります。そういう舞台の最後に、必ずこの付祝言が謡われる。悲劇があっても、必ず全てが清まり、吉へと化する言霊の力があると信じられているのです。のりなおしの謡ですね。神業的に言うと、「悲劇的なことがあっても、必ず全ては吉へと化すから、先のみろくの世を楽しみにして、今は大変でも頑張って待っていよう」という、素晴らしい霊力を持つ謡なのです。
「高砂」の小謡「四海波」もそうです。日本列島を中心として「四海波」、つまり全世界が、静かに穏やかに平和となり、国々が治まり、みろくの世が到来することを予言しています。・・・
東州宝生会発足直後の「第一回鍛錬会」や、全国大会でもこのことを話しましたが、皆さん、覚えていますか。

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