多くの神事、多くの海外出張、数多くの会社経営、他に絵や書やオペラなどのお稽古。そんな絶叫するような毎日の中で、僕は黙々と地道に能のお稽古を続けていくのです。神様を愛しているから、この道を貫いていくのです。皆さんも共に、この道を歩んでくれると、父の愛も報われるものです。
最後に、去年の6月に皆さんに送った手紙の一部を送ります。いかに能が神業と連動しているか、皆さんが東州宝生会に入会したことがどんなにすばらしいか、今一度思い出してください。
「・・・大会を目前にして、皆さんに是非今一度伝えたい事があり、手紙を書くことにしたのです。
それは、能を通じてのご神業がいかに神事と連動し、ご神業をする者にとってどれほど大切なことか、ということです。
まず第一に、能は神業と密接に連動しています。「高砂」や、去年出した「石橋」連獅子、そして、僕が今年出す「翁」は、昔は家元しか演じることができない能でした。なぜか。それは、神霊界の秘め事が隠され、みろくの世の神仕組が秘められた能だからです。機会があるごとに言っていることですが、もう一度、例を挙げて話しましょう。
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