夫が眠るアラスカ・キスカの石、66年ぶり妻のもとへ2008年04月25日13時33分 太平洋戦争中、アラスカ・キスカ島の海戦で、駆逐艦「霰(あられ)」の乗組員だった夫を亡くした岐阜県の女性(88)に20日、夫が眠る海底の小石が届いた。同じころに周辺海域で行方不明になった米潜水艦を探索していたチームが海底で霰の船影を見つけ、近くで拾い上げた。66年ぶりに届いた遺骨がわりの小石を、女性はじっと無言で見つめた。
神戸市の会社員岩崎裕さん(51)が手渡した。海戦史に詳しい岩崎さんの情報を元に06年、日本の輸送艦に撃沈された米潜水艦「グラニオン」の艦長の3人の息子が、私費を投じてキスカ島沖を探査。ソナー探査でグラニオンとともに霰の船影をとらえた。昨年8月、兄弟のチームは無人探査機によるグラニオンの撮影に成功。霰は撮影できなかったが、参加した日本人技師の甕川敏暢(みかがわ・としのぶ)さんが海に酒を注いで霰の乗組員らを慰霊し、無人探査機で海底から拾い上げた小石を持ち帰った。 同じころ、高齢者施設で暮らす女性は、何年も見ることのなかった夫の夢を見たという。活動を報道で知った親類がこの偶然をインターネットのブログに書き、岩崎さんの目にとまった。小石をもらった岩崎さんは「ご遺族が持つべきだ」と女性を訪ねた。 結婚して間もなく死別した夫について、女性はこれまで家族にほとんど話したことがなかったという。小石をじっと見た後、「今さら仕方がないね」。岩崎さんは「自分の情報が思いもよらない多くの人たちを結びつけてよかった」と語った。(浅倉拓也) PR情報この記事の関連情報社会
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