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【主張】脱ゆとり教育 先行実施で成果あげたい
小中学校の新しい学習指導要領について、理数教科を中心に来年度から先行実施される内容が公表された。ゆとり教育是正に真剣に取り組んでほしい。
新指導要領は教科書改訂に時間がかかるため、小学校が平成23年度、中学が24年度から全面実施される。
文部科学省は教科書改訂を待たずに来年度から実施できる内容を詳しく示した。新指導要領導入を円滑、迅速に進めるねらいだ。
特に理数系は昨年12月に公表された国際学力調査で学力低下傾向に歯止めがかかっておらず、早期対応の要望が強い。
先行実施する内容は、例えば小学校の算数で台形の面積が復活するほか、そろばんを使った計算も充実する。中学理科ではイオンや遺伝子について教える。
理数教科以外にも、小学校社会で47都道府県名を地図帳などを使って教える。中学体育の武道必修など、学校の判断で先行実施できる内容も示した。
道徳教育充実のほか、伝統文化尊重、言語力育成などを盛り込んだ指導要領の総則の内容も先行実施の対象だ。
幅広い知識や豊かな情操を養う新指導要領のねらいを積極的に実際の授業に生かしてほしい。
心配なのは授業時間や学習内容の増加に対し、「教師や子供の負担が増える」「教員数が増えなければ対応できない」などの声が少なくないことだ。
だが現行指導要領は学習量が3割も削減され、学力低下を招いた。新指導要領で増やす内容は子供たちが当然身につけなければならない指導内容で、「負担」というにはあたらない。
ゆとり教育では、「ゆとり」の意味をはき違え、教えるべき指導をおろそかにし、子供任せにしてきた。
まず教師一人一人が授業を見直し、分かりやすく、しっかり教える授業を工夫すべきだろう。
昨年から復活した全国学力テストでは秋田県などの地道な学力向上策が注目された。文科省や教育委員会は、熱心な教師や学校の事例を積極的に公表し、支援する施策を充実させることだ。
国際学力調査で日本の子供たちの弱点になっている読解力や考える力も育っていない。ゆとり教育是正は待ったなしだ。学校現場は確かな学力を身につけさせるため競ってほしい。