空を飛ぶ鳥になり倉敷市の美観地区を見下ろしている感覚がとても面白い。倉敷市阿知の画家岡本直樹さんが、携帯版「倉敷川畔美観地区鳥瞰(ちょうかん)絵図」(A1判)をつくった。
大原美術館など倉敷川沿いの文化施設、瓦屋根の街並み、木々の緑が美しい鶴形山などが千分の一の縮尺で描かれている。屋根の形や窓の数も実物と同じだ。眺めるだけで倉敷散歩が楽しめる。美観地区で販売されている。
岡本さんが三十四年ぶりに古里へUターンしたのが、制作のきっかけだった。駅周辺は再開発され、商店街にはマンションや空き地が増えているのに驚き、街の姿を絵で残しておく必要があると感じたという。
自分で撮影した航空写真を参考に、街を歩き、ビルの屋上に上がってスケッチするなど、完成までに四年をかけた労作だ。昨年春に発表したところ好評だったため、携帯版が実現した。
街並みだけでなく、路地で語り合う主婦、犬を散歩させる住民も描かれ、生活感も漂う。最近のデジタル地図と違い、手描きの温かさが魅力である。早速、倉敷駅前などの観光案内板に採用された。目で見て理解できるので、一層の活用に期待が膨らむ。
五月二日からはハートランド倉敷も始まる。白壁が映える古い街並みを探訪するには、鳥瞰図片手が似合いそうだ。