民間の信用情報調査機関・帝国データバンクは、2001年から2007年の間に倒産した医療機関(病院[病床数20以上]、診療所[病床数20以下]、歯科、医院)の動向(法的整理のみ)について調査・分析しています。
それによると、2001年から2007年の医療機関の法的整理による倒産は、210件発生したと報告しています。年別では、2007年が48件と突出しています。施設別の動向では、2007年の「病院」の倒産が、前年比3.4倍となる17件も発生しています。 意外だったのは、「診療報酬改定」や「医師不足」が直接要因となった病院の倒産のケースはほとんどないということです。近年、マスコミで報じられている医師不足などを直接要因とする医療機関の倒産ラッシュは、これから本格化する可能性が高いとも報告しています。 私のところにも「売り病院」の情報が、この1、2年、目立って増えてきています。ほとんどが営業中ですが、経営内容はひどいものばかりです。 理事長(院長)にお会いすると、一代で病院を大きくされてきた苦労話も出てきます。個性が強いながらも、医療にポリシーを持って頑張ってこられた方もいます。 しかし、病院といえども「経営」が大前提です。しっかり利益が確保できない医者(経営者)は、地域に、継続して医療を提供していくことが出来ないのです。 「あかひげ」が生き残れる時代ではなくなりました。医学が如何に進歩しようと、その成果は、安定した病院経営のもとでしか提供できない。診療報酬の改定後、それは絶対条件となりました。 救急車で、患者がたらい回しにされる報道に「これは日本のことなのか」と驚きましたが、今では「これが日本の状況だ」と思うばかりです。産科では更に深刻な事態となっているようです。 後期高齢者医療制度も、2008年4月15日、年金からの天引きが始まりました。わずかばかりの年金から、介護保険料と健康保険料が天引きされていきます。取るものだけ取られながら、病院に行くのをためらう高齢者がでてくる懸念も言われています。 先進国と言われる日本において、満足な医療が受けられなくなっていく現実。医療費削減が達成されるのと引き換えに、医療への安心がなくなるようでは困ります。
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