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シリア:北朝鮮「核支援」 イスラエル、脅威の歯止め狙う

 ◇情報開示、シリアとの緊張懸念

 【エルサレム前田英司】米政府が24日公表した北朝鮮とシリアの核開発協力に関する情報は、イスラエルの機密情報を基にしている可能性が高い。イランの核開発に脅えるイスラエルにとって、中東への北朝鮮の核技術拡散は深刻な脅威だ。イスラエルはこうした動きに歯止めをかけるため「最小限」の情報開示を米側に了承したとみられるが、政府内にはシリアとの緊張激化につながるとの懸念も広がっている。

 米政府が「原子炉」と断定する昨年9月に破壊されたシリア東部デリゾール地方の施設は、イスラエル軍が空爆したとされるが、イスラエル政府は今も公式には、事実を確認していない。沈黙を守って自国の関与を「排除」することで、シリアに反撃の口実を与えない狙いがあるためだ。

 イスラエル紙ハーレツによると、米政府が議会への情報開示の了承をイスラエルに求めたのは約3週間前。情報によっては、シリア国内にいる「協力者」の身元が明らかになる恐れがあり、バラク国防相ら治安当局者は猛反発した。だが、オルメルト首相は了承すべきだと主張。米側はイスラエルの懸念に配慮して、議会の公聴会を非公開にしたという。

 テルアビブ大のウジ・エベン教授は「戦争も誘発しかねない空爆の遂行はイスラエルの危機感が切迫していた証拠だ」と分析する。北朝鮮からシリアには90年代からミサイル開発技術が流入しているとされ、核開発でのさらなる連携はイスラエルにとって深刻な脅威となる。北朝鮮の核技術拡散を抑制するための総合的判断から、オルメルト首相は米政府の要求に応じた模様だ。

 しかし、治安当局は核開発疑惑の発覚でシリアが追い詰められ、イスラエルへの報復に転じるのではないかと懸念を深める。

 イスラエル・シリアの和平交渉は00年以降、中断しているが、トルコが最近、仲介に乗り出していた。26日には、エルドアン・トルコ首相がイスラエルの「伝言」を携えて、シリアを訪問すると伝えられたばかりだった。

毎日新聞 2008年4月26日 東京朝刊

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