あたかも“戒厳令”長野市民「平和返せ」
長野駅前での抗議活動を制止する警察官。大量の警察官や機動隊員が全国から集結
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北京五輪の聖火が25日朝、中国国際航空機でオーストラリアから羽田空港に到着、昼前にバスで長野市に入った。聖火リレーは26日、18・7キロのコースで行われるが、前日の同市内は複数の団体が各地でデモ行進を行うなど、早くも異様な雰囲気に包まれた。警備の機動隊員が全国から続々と現地入り。緊張感が高まる中、市民は「静かな生活が脅かされている」と困惑の表情を浮かべた。
トラブルに巻き込まれないように外出を控える人が多いせいか、午前中から閑散とした長野市内。チベット支援団体や中国への抗議を訴える団体が入り乱れ、拡声器やスピーカーの大音量が静かな街を包み込んだ。
午前11時ごろ、中国で非合法とされている団体「法輪功」のメンバー約200人がマーチングバンドの演奏とともにデモ行進。コースとなる駅前の目抜き通りを数時間にわたって練り歩いた。その脇で目を光らせる黒いスーツ姿の警察関係者。デモとニアミスする形で、聖火が午前11時40分ごろ、JR長野駅前のホテルに到着した。
午後2時ごろ、チベットの旗を持った別の団体が善光寺近くからデモ行進をスタート。「長野での聖火リレーを阻止せよ!」などと声を上げ、こちらも私服警官が取り囲み、一触即発の状態が続いた。
同市には全国から右翼団体も集結。拡声器付きの車がいたるところで「北京五輪反対!」などと訴えた。さらに、インターネット上には「26日に長野駅を爆破する」などの書き込みがあった。さまざまな抗議活動に対応するために、管区機動隊や警視庁の応援部隊約800人も続々と長野市入り。「練馬」「沼津」のナンバーをつけた警察車両が入念にコースを下見していた。
一大イベントの前日にもかかわらず、ものものしい雰囲気で市民の歓迎ムードはほとんどない。自営業の男性(59)は「こんな穏やかな市民生活を奪われている。よその都市でやってくれればよかったのに」とため息を漏らす。善光寺前の中央通りの商店街は不測の事態に備え、鉢植えなどの撤去が急ピッチで進められた。洋品店の従業員は「投げられては困るので。朝から街宣車などがうるさくて、せかされた感じ」とうんざり顔。コース沿いに住む主婦(67)は「本当にうるさい!聖火を早く持って帰ってほしい」と顔をしかめた。
[ 2008年04月26日 ]
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