ここから本文です。現在の位置は トップ > 関西 > 記事です。

関西

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

賃金未払い:「100万円渡す」研修生だます 愛媛・タオル会社、払わず中国に放置

 ◇研修生3人

 愛媛県今治市のタオル製造会社経営者が、中国人研修生3人に未払い分の賃金を払うよう今治労働基準署から是正勧告を受け、3人に「約100万円ずつ支払う」と約束して中国・大連に連れて行き、金を払わずに置き去りにしていたことが分かった。3人は出身地に帰るしかなく、事態を知った関係者が大阪にある中国領事館に訴える騒ぎになっている。

 この会社は「杉野綿業」。研修生3人はいずれも女性で、05年に来日。工場でタオルの縫製や検品作業などをした。

 賃金は最低賃金法で地域と職種ごとに下限が定められており、3人の場合は時給623円、残業代は約780円。ところが、関係者によると、3人は週1日の休みしかなく、連日8時間働かされたうえ、本給分の手取りは月わずか7万円。さらに残業は月100~190時間にのぼり、時給は300円だった。

 今年1月、3人が労基署に相談。労基署は正規の給料を払うよう、会社に勧告した。このため、会社側は3人に1人約100万円を払う条件で帰国させることにし、1月30日、杉野廣社長らが付き添って3人を中国・大連の空港まで連れて行ったが、そこで金を払わずに置き去りにした。3人は船で出身地の青島(チンタオ)や威海(ウェイハイ)に帰郷した。

 杉野社長は毎日新聞の取材に「金は中国側の送り出し機関に渡した」と話しているが、3人を日本に送り出した青島嘉泰国際貿易公司の担当者は「社長には会っていない」としている。

 置き去りにされたうちの1人は「毎日遅くまで、時給約300円でタオルを縫っていた。きちんと給料を払ってほしい」と話している。【後藤直義】

毎日新聞 2008年4月26日 大阪夕刊

関西 アーカイブ一覧

 
 

おすすめ情報