素敵な里親さんが見付かるまで、武蔵野のとある家に下宿する動物たちのお話。
子犬との生活は、実はとても大変
2007年02月16日 (金) | 編集 |
今日は子犬の可愛さだけではなく、実際のお世話の大変さを書いてみたいと思います。
文中では、偉そうな、あるいは不快な事も書きます。
理由は読んで頂ければ分かっていただけると思います。
それから、これはわたし100%個人の意見であり、子犬の預かりを依頼されている会の意見ではありません。

「可愛いから犬が欲しい」と思っている方に、一度ぜひ立ち止まって現実のお世話の大変さを知っていただき、今一度”本当に犬を幸せにできるのか”を落ち着いて考えて頂きたいと思います。

【1】トイレについて

子犬はトイレをよく外します。
トイレシーツでして欲しい!と人間は思いますが、犬はオシッコを吸い込みそうなところなら、カーペット、畳、クッション、ラグ、布団の上など、どこでも排泄します。

トイレの場所を覚えるまでにある程度の時間が掛かります。特に環境が変わると、一から覚えなおしです。

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写真:こんなことは日常茶飯事。

でもトイレを外したからといって怒らないで下さい。子犬は怒られると”トイレをすること自体がいけないことだ”と思ってしまいます。
すると家の中でずっと我慢して膀胱炎になってしまったり、あるいはテーブルの下、棚の陰、隠れたところでこっそりとするようになってしまいます。

元々犬は、決まった場所で排泄をする動物ではありません。
家の中で飼う場合、犬にとっては家の中全てが排泄可能地帯です。
このことをまず理解してください。

あなたは犬が何度トイレを失敗しても、イライラせずに根気よく教えることができますか?

【2】色んなものを破壊します

子犬は実にいろんなものを破壊します。
人間にとって価値のあるものでも(高価な家具やお気に入りの雑貨など)、犬にとっては何の価値もありません。
また危険なこともします。
わたしの家でも、子犬の部屋には本棚だけが置いてあり、その本棚はサークルに入っています(犬がではなくて本棚がサークルに入っているのです)。
「これだったら何の危険もないだろう!」
そう思いました。
でも甘かったのです。

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写真:コンセントのカバーを犬が取ってしまいました。

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写真:カバーももう使い物になりません。

まさか!と思うこと、あるいは人間が思いつかないことを、子犬はやります。この場合、コードがむき出しになりとても危険でした。反省点のひとつです。

また壁紙もこの通りです。

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写真:こんなことは覚悟の上ですが、うちは新築です。。。

あなたは高価な家具や大切なものが壊されても、犬を殴ったりしませんか?
悪癖がある場合、きちんと躾けによって矯正できますか?
危険なものを犬の目線で見つけ、迅速にその危険を除去できますか?


【3】掃除洗濯は3倍・4倍になります。

ウチでは現在、一日のうちに人間のもの以外(犬の汚したものだけ)で洗濯機を4回くらい回しています。
排泄を失敗し、ラグ・タオルケット・寝床などにするからです。

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写真:自分たちの寝床におしっこをしてしまいました。

また部屋も一日に数回は、このような状態になります。

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写真:トイレシーツをビリビリに。

部屋中にトイレシーツのポリマーが散乱し、大きなゴミを手で取った後、掃除機をかけ、雑巾がけをしています(放っておくとトイレシーツも口に入れてしまいます)。
これが一日に何度もあります。正直、大変です。
躾(注意)をしても、一日やそこらで言うことを聞かないのが子犬です。

一日中、犬関係の掃除・洗濯に追われているといっても過言ではありません。
朝、散乱したトイレシーツを片付けます。片付けている間にも子犬は寝床の毛布の上におしっこをします。その毛布を洗濯機に放り込んで新しい毛布を寝床に置きます。するとすぐにまたその毛布の上にウンコ(こういうときに限って下痢)をします。トイレシーツをセットして、またウンコまみれの毛布を洗濯機に放り込んで部屋に戻ると、またトイレシーツが散乱しています。
もう片付けの永久ループです。

あなたは、これらのお世話をする「時間」が本当にありますか?
イライラせずに、子犬を叩いたりせずに、これらの片づけを一日に何度もできますか?
犬と飼うということは、こんな生活が長く続くかもしれないことですが、子犬が大きくなっても愛情を持ってできますか?


【4】お金はありますか?

なんてイヤラシイ質問でしょう!
でもしっかりと聞きたいです。
きちんと飼育すれば、何かとお金が掛かる犬。具体的には、
フード代(安価な粗悪フードで済ませようと考えているならば、安心して犬をお任せすることはできません)
病院代(不妊手術、毎月のフィラリア予防、ワクチン接種、定期的な健康診断等)
生活用品(トイレシーツやおもちゃ、寝床等)
その他もろもろです。

経済的な余裕はありますか?
自分たちだけではなく、15年先の犬の生活のことまでしっかり考えていますか?


【5】犬とのお見合い

犬とのお見合いは、単に実際に犬と触れ合うためにあるのではないとわたしは思っています。
特に複数の里親希望者がいる場合、お目当ての犬を自分のうちの子にするためのプレゼンテーションの場でもあります。
お見合いと言っても、実際に犬が
「この家庭に行きたいワン」
と言う訳ではなく、譲渡する側が最もその犬に合うであろう条件のご家庭を選ぶわけです。
そのためには、たくさんアピールして頂く必要があります。
たとえば犬を飼ったことのない方であっても、
「こんなに飼育の勉強してきました!」と誠意を見せて頂くとか、
あるいは
「こんな良いフードを食べさせるつもりです」
「散歩は一日に2時間以上します」
「ウチの周りはこんなに環境が良いのです」
とか、どれだけ愛情をもって飼育するつもりかを具体的にプレゼンして頂く必要があります。
ただ単に「可愛いから欲しい」では、とても犬を託すことなどできません。
具体的にどのように犬を飼育しようとしているのか、わたしはお見合いではしつこいくらい聞くつもりです。

人間の決定(誰に犬を託すのか)によって、犬の幸福が決まります。
なので、慎重に慎重を重ねて、お見合いの時には失礼なことも不快なこともすべて聞きます。それによって不愉快になることもあるかと思います。
でも、万が一の犬の不幸を考えれば、人間に嫌われることなど大したことではありません(嫌われればもちろんわたしも傷付きますが・・・)。

お見合いは、譲渡する側・される側がベストな犬の幸せを考える場です。前向きに積極的に意見交換ができれば良いと思います。

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長々と書いてしまいましたが、結局は
「終生変わらぬ愛情を持って飼ってほしい。」
ということに尽きると思います。
愛情さえ尽きなければ、正しい飼育(知識と愛情を持ち、犬にとっては何をどうしたら良いのかを常に考えること)ができるはずだと思います。

自分でもビックリするくらい偉そうに書いてしまいましたが、譲渡する側になって初めて気がついたこともたくさんあります。

わたしは昨年、犬を譲渡していただきました。里親になったのです。
犬と家の中で一緒に暮らすのが、わたしの夢でした。
犬が人間のように家の中を歩き、散歩は一緒に長い距離を歩き、できる限り最良なフードを与え、おやつも与え、旅行には一緒に出かけ、自分の子供のように健康に気を遣い、夜は一緒にベッドで抱き合って眠る・・・そんな夢です。
その夢は今、実現しました(旅行以外は)。
最高のパートナー(Buddyといいます)を譲渡して頂いたからです。
できれば、これから犬を迎えようとしている方たちにも、わたしと同じように「迎えてよかった!最高だ!」と思って頂きたいです。

でも譲渡する側になってみると、不安だらけです。
申し込みをされてくる方、お見合いをされる方、いずれも初めてお会いする方です。
本当にしっかり最期まで飼育してくれるだろうか?
愛情は尽きないだろうか?
そんな思いでいっぱいです。

偉そうに言っていますが、わたしもBuddyのお見合いのときは、Buddyを可愛がることしかできませんでした。もっと「このように飼います」と保護主さまにきちんと伝えれば、もっと安心してもらえたのではないかと反省しています。

短くても、お預かりで共に日々を過ごした大切な命。
絶対に不幸にするわけにはいきません。
なので、本当に最期まで一緒に暮らす覚悟があるのかどうか、それを見極めるために、失礼なことも不快なことも聞こうと思うのです。
短時間のお見合いで相手を理解するには、それも必要なことだと考えます。

犬との楽しい生活、幸せな生活が、それを望む方々すべてに訪れますように!

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