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後期高齢者医療制度:「診療料」算定届け出、全医療機関の3.6% /宮城

 ◇医師組織「必要な医療できない」と反発も

 後期高齢者(長寿)医療制度の導入に伴い新設された「後期高齢者診療料」について、診療料を算定するための届け出を行った医療機関数が25日現在、県内の小児科を含む全医療機関(約1400)の3・6%に当たる約50にとどまっていることが分かった。定額でかかりつけ医の診療を受けられる仕組みで、診療費抑制を狙っているが、県内の医師組織が「必要な医療が提供できなくなる」として、算定自粛を会員に要請するなど全国で反発が広がっている。厚生労働省は「届け出をするしないは自由だが、患者の選択肢を狭める恐れもある」としている。【青木純】

 同診療料は今月行われた診療報酬改定で、75歳以上を対象に設定された。慢性疾患のある患者が月に1回、診療料(自己負担は原則600円、薬代は除く)をかかりつけ医に払うと、検査や処置を何度でも受けられる。同診療料を支払わず、1回の診療ごとに料金を払う従来の方式も選択できる。

 この制度に関し、県内の医師約3500人で組織する県医師会(伊東潤造会長)は、▽かかりつけ医を1人しか指定できず、医療機関同士の連携が損なわれる▽患者の症状が急に悪化して必要な検査・治療を行っても、同診療料以外の算定ができない場合がある--など問題点を指摘。9日の理事会で「検討すべき点が多く、算定には慎重な姿勢が必要」との見解を取りまとめた。

 また約1700人を抱える県保険医協会(寺島一郎理事長代行)も25日、会員の医師に対して同診療料を算定しないよう呼び掛けると発表した。「患者負担が月600円では、医師側の持ち出しが増大しかねない。地域医療の崩壊を招き、患者が必要な医療を受けられなくなる恐れが高い」としている。

 各医療機関が同診療料を算定するためには、届け出が必要。取りまとめを行う宮城社会保険事務局によると、これまでに届け出を済ませた医療機関は約50程度。残りの医療機関では患者が望んでもかかりつけ医を指定できず、同診療料による検査や処置が受けられない状況となっている。

 厚労省保険局医療課は▽かかりつけ医に年間の診療計画を作ってもらえる▽病気の状況によって別の医師の紹介を受けられる--など同診療料の利点を挙げたうえで、「よりよい制度を作ったと考えており、患者が活用できないのは残念。高齢者が安心してサポート体制を受けられるよう、できれば算定を行ってほしい」としている。

毎日新聞 2008年4月26日 地方版

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