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2008年4月23日(水) 朝刊 29面
紹介状に患者の暴力歴/本島中部の病院
 交通事故で頚椎ねんざを負った四十代の男性が、本島中部の病院から別の医療機関に転院しようとした際、医師が作成した紹介状(診療情報提供書)に、治療に関係しない警察での取り調べ歴などの情報を記載されたとして、プライバシーの侵害を訴えている。病院側は「紹介先で万が一のことがあれば病院同士の信頼関係が崩れかねない。治療に必要な情報と判断すれば提供する」と説明するが、疑問の声も上がっている。(上原綾子、上地一姫)

 男性は今月上旬に追突事故に遭い、同病院の整形外科から別の整形外科に移るため、紹介状の作成を依頼した。その書面に、過去に詐欺罪で警察の取り調べを受けたことや睡眠薬の大量服用による同病院での入院歴、家庭内暴力(DV)などの情報が記されていた。

 紹介状は患者の症状やそれまでの治療の経緯、紹介目的などを医療機関の間でやりとりする文書で、担当医以外は見ないのが前提という。

 事前に開封して内容を知った男性は「事故によるけがとは全く関係のない情報。何を意図して書いたのか病院から納得できる説明もない」と不信感を募らせる。紹介状は男性の削除要求で書き直された。

 病院側は沖縄タイムス社の取材に、県内でも過去に患者による医師刺殺事件が発生し、事件の未然防止などのため患者の対応に敏感になっていると説明。「暴力歴やアルコール中毒などの情報があれば書き添える。患者の治療を順調に続けることが目的で、個人情報保護は徹底している」とし、医療目的以外に外部提供することはないと強調した。

     ◇     ◇     ◇     

先入観与える恐れ・対応は理解できる

 「行き過ぎだ」「理解できる」―。病院側の対応にさまざまな声が上がった。

 患者の目で医療を考えるNPO法人「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」(大阪市)の山口育子事務局長は「既往症や薬の服用歴などは治療方針に影響する重要事項だが、けがの治療に過去の取り調べの情報まで必要とは思えない。紹介先に『危険な患者だ』という先入観を与えてしまうのも問題ではないか」と危惧。

 個人情報保護法に詳しい永吉盛元弁護士は「仮に患者に何か問題があっても、『慎重に診療することが望ましい』といった表現にとどめるなど、プライバシーを侵害しないよう細心の注意を払うべきだ」と指摘した。

 これに対し、本島南部の病院に勤める医師は「紹介状にそこまで触れるのは聞いたことがないが、多角的に見て治療に必要との判断で記載したのだろう」。県医師会医事紛争処理担当理事の稲田隆司医師は、全国的に起きている医療機関への暴力などの問題を挙げ、「今回の病院側の対応を完全否定すると、細やかな配慮ができなくなることにつながる。非常にデリケートな問題だが、患者の気持ちに配慮しつつ、患者に不利な情報でもケース・バイ・ケースでの提供はあり得るのではないか」と話した。



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