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【主張】シリア核疑惑 米朝協議のあり方見直せ

2008.4.26 02:37
このニュースのトピックス主張

 米政府はシリアが北朝鮮の支援を受けてプルトニウム生産が可能な原子炉建設を進めていたことを確信するとの声明を発表、米議会に提示した画像資料などの一部を公開した。

 問題の施設は昨年9月、イスラエルの空爆で破壊され、北朝鮮・シリア間の核拡散協力を示す疑惑として注目されていた。声明によれば、核施設は完成まで数カ月の段階にあり、放置すればアラブ国家として初の核兵器生産能力の獲得につながった恐れが強い。

 両国は否定しているが、事実なら中東の戦略情勢を一変させかねない重大事だ。シリアは核拡散防止条約(NPT)加盟国だが、国際原子力機関(IAEA)にも施設建設を通告していなかった。世界を核拡散から守るための国際社会の努力に冷水を浴びせる行動として厳しく非難されて当然である。両国は直ちに事実を明らかにし、二度とこうした行動をとらぬよう世界に誓約すべきだ。

 さらに重大なのは、6カ国協議に与える影響だ。米国は2006年末以降、米朝2国間協議を6カ国協議に先行させて北朝鮮の妥協を引き出す方針に転じた。

 現在の焦点は(1)北朝鮮が保有する核物質の総量(2)ウラン濃縮(3)第三国への拡散行為−を含む「完全かつ正確な申告」を通じて核廃棄を進めることだが、ヒル米首席代表らがウラン濃縮や拡散行為について「あいまいな政治決着をめざしている」との批判や懸念が米国内でも高まっていた。

 米政府が公式にシリア・北朝鮮の拡散行為を確認した以上、核申告問題を政治決着ですませるのはもはや不可能となった。米政府は今後の拡散を防ぐために「6カ国協議に厳格な検証の仕組みを設ける」ともしているが、それだけではとても十分とは言えない。

 北朝鮮にはイランなどへのミサイル技術移転疑惑もある。6カ国協議での検証以前に、対シリア協力の実態や他国への拡散行為の有無について、北朝鮮が自ら詳細に開示することが不可欠だ。

 米国は核申告問題解決の見返りに北朝鮮のテロ支援国家指定解除に踏み切る方針とされ、この問題を正しく決着させることは拉致問題を抱える日本にとっても重要な関心事だ。日米同盟の信頼もかかっている。米政府は安易な妥協に走らずに、この機会に米朝協議のあり方を見直してもらいたい。

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