財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)の西室泰三会長は4月25日、部会終了後の記者会見で、夏までにまとめる2009年度予算の建議について、勤務医の負担軽減の観点から看護師の医療補助業務の拡大を求めるほか、診療報酬の配分を病院に手厚くすることなどを盛り込むとの見方を示した。
【関連記事】
来年度予算めぐる議論開始―財政審
部会はこの日、国立病院機構の矢崎義雄理事長らから、医療と介護の現状についてヒアリングを実施。この中で、大病院は診療所に比べて診療報酬上、冷遇されていることや、外来に患者が殺到するために運営が非効率になっているとして、診療所が一次救急としてトリアージを担うことが必要だとする意見が出た。
これについて西室会長は、「病院と診療所の役割分担が必要」と述べ、診療報酬上の配分で考える方針を示した。また、勤務医の負担軽減の観点から、「看護師の医療補助業務についても、ちゃんとトレーニングして資格を与えるようにすれば、(業務中に処置などのために)医師を呼ばなくても済み、医師は専門(の分野)に集中できるのでは」と述べた。麻酔科医の不足については、麻酔ができる歯科医の能力も活用できると指摘した。
■慢性期医療の提供にナーシングホームを
療養病床の削減について、西室会長は「療養病床を35万床から15万床にまで減らすという方針が、本当にそれでいいのか疑問だ。経営判断で病床をつぶさせるような指導方針はまずい」と苦言を呈した。また、「医療サービスと介護サービスの提供が交ざって分かりにくくなっているため、はっきりさせるべきだ」との認識を示した。さらに、療養病床が減っても、慢性期医療が必要な人の受け入れ先として、ナーシングホームのようなさまざまな施設が考えられるとした。
介護報酬については、「生活援助」などが多くなる介護度が低い人へのサービスの配分を減らし、介護度が高い重度の人への配分を厚くする方向性も示唆した。
■中医協は抜本的議論を
西室会長は中央社会保険医療協議会(中医協)の在り方についても言及し、「分科会で利害関係者の議論となるため、小幅な改正(診療報酬の改定)しかできない。大きな方針の見直しをして、立て直してほしい。中医協らしいことをやってほしいという内容を、どう(建議に)書こうかと思う」と述べた。
次回部会は5月13日で、再度、社会保障分野からのヒアリングを実施する予定だ。
更新:2008/04/25 23:05 キャリアブレイン
医療ニュースデイリーアクセスランキング
※集計:4/25
医療ニュースアクセスランキング
※集計:4/20〜4/25
医療ニュース動画
08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。