(―4― 暴走)見晴 視点

ベッドの上へと馬乗りになった僕は花斗さんをじっと見つめる。
股を広げ、花斗さんの足を挟みこむようにして僕はベッドの上に乗った。

「う〜ん・・・」
足元に違和感を感じてか、花斗さんが眼を覚ました。
もうこうなれば引き下がれない。

「・・・・・・・・」

眼を細めすやすやと気持ちよく眠っていた花斗さんは、はっと眼を覚ましたように大き
く眼を開いた。

「・・・・・・・・・・・・ゆっ・・・・雪原君っ?」
目の前で起こっていることを必死に必死に理解しようとする花斗さん・・・
その瞳は動揺を隠し切れずに瞬きを繰り返していた、まるで夢から必死に覚めようとす
るかのように・・・・

「やあ・・・花斗さん。」

花斗さんの驚く顔で僕の心臓の音は体中に高鳴り、わきの下や背筋からは汗が噴き出し
ていた。
普通なら緊張している状態の時にこんな状態になるんだが、むしろそのお陰で僕は冷静
でいられた。
いや、むしろ花斗さんに興奮して、発情している自分に快感を覚えていた。

「なっ・・・何をしてるの・・・?」

花斗さんの瞳は全身から湧き上がって来る不安のせいで泳ぎ始めていた。

「決まってるじゃないか」

悪魔と化した僕があえて発さなかった言葉の意味を、そしてこれから起こることを理解
したのか花斗さんの瞳から涙が溢れ始める。

「・・・・いっ・・・いやっ・・・いやっ・・・・」

顔を赤くして、必死に僕の呪縛から逃れようと抵抗する花斗さん。
でも、男の僕の力には敵わず、必死にもがく動きはむしろそれは僕をますます興奮させ
るだけだった。

「逃げないでよ」

僕が発した言葉は自分でも驚くほど、僕の耳に冷酷に響いた。
冷酷な僕の言葉に花斗さんの心に大きな絶望を与えてしまったようで、花斗さんの必死
の抵抗はだんだんと弱くなっていった。
それでも花斗さんの涙で揺らぐ瞳は必死に必死に僕の呪縛から逃れようとするかのよう
に、僕の良心に必死に必死に助けを求めていた。

(助けて・・・助けて・・・)

花斗さんの涙の必死の願いに心が揺らぐも、むしろその願う瞳は僕の心をより一層大き
くするだけだった。
しかし、まるで希望が花斗さんに背を向けたかのように僕の指はブラウスのボタンを一
つずつ外してゆく。

  「やっ、ぃやぁっ、おねがいっ、止めて――― 」


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