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思いやり予算 日米同盟にカゲ 求められる透明性

2008.4.25 22:28

 「思いやり予算」に関する新特別協定案が、19年度内に承認されなかった上、参院で否決されたことは、日米同盟に暗い影を落とした。ただ、国会審議では、民主党など野党の指摘で遊興施設の労務費など不適切な支出が次々に指摘された意味合いは大きい。財政難にあえぐ日本政府にとって、思いやり予算の負担は軽いとはいえないだけに、経費の透明性をめぐる論議は今後ますます活発になりそうだ。(加納宏幸)

 「思いやり予算はあまりにも高くなりすぎている。もう一度原点に立ち返って議論することが必要ではないか」

 25日の参院本会議では、民主党の白真勲参院議員は反対討論で「思いやり予算」を厳しく批判。賛成討論した自民党の浅野勝人参院議員も「野放図な財政支出は許されない。今回の負担軽減は到底満足できる数字ではない」と政府に苦言を呈した。

 実際には、日本側は新協定締結に向けた日米協議で光熱水料や労務費の大幅な削減を求めてきた。石破茂防衛相も米軍基地で働く日本人従業員の給与水準が高いことなどを問題視。思いやり予算についてゼロベースから見直しを進めるべきだとの考えを示していた。

 日米安保をめぐっては、ミサイル防衛(MD)システムの整備に加え、在沖縄海兵隊のグアム移転費用など今後も巨額な負担が発生する。納税者の理解を得ながら着実に防衛力を整備していくには「米側にも目に見える努力が必要だ」(政府高官)との思いがある。

 これに対し、米政府は、イラク、アフガニスタンでの巨額の戦費に苦しんでおり、中国の軍備拡大など北東アジア情勢の不安定化を理由に日本側に「応分の負担を」とさらなる財政負担を要請。結局、減額したのは8億円だけだった。

 新特別協定案の審議を通じ、野党は経費支出の不適切さを徹底追及。民主党の渡辺周衆院議員は「思いやり予算」にボーリング場マネージャーやバーテンダーの給与まで含まれることを指摘し、「なぜ私たちの国家が米兵の休日の遊興費にまで税金を出さなければいけないのか」と批判した。

 これまでスルスルと審議を終了していた「思いやり予算」の問題点が浮かび上がったのは、衆参ねじれによる与野党拮抗の“成果”ともいえる。

 ただ、日米両政府が署名した特別協定の承認が遅れ、約1カ月間の空白期間が生じたことで、米政府が迅速に政策遂行できない日本政府に不信感を強めたことも事実だ。しかも参院では現行憲法下初めて条約を否決。自衛官出身の佐藤正久参院議員(自民)は「米国だけでなく周辺諸国に誤ったメッセージを送ることとなった」と日米同盟の将来に強い危機感を示した。

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