ドイツの中国学者・民族学者の南因果博士は23日、新華社の取材に対し、ダライ・ラマ14世による西蔵(チベット)「文化的ジェノサイド」論に反駁を加えた。博士は「その正反対で、西蔵文化は中国の下で繁栄と長足の発展を得た」と指摘する。
2002年夏に西蔵に1カ月滞在し、那曲(ナチュ)地区を中心にチベットヤクの飼育に関する実地調査を行った博士は次のように語る。
「文化的ジェノサイド」という言い方は完全に間違っている。中国政府は実際には西蔵の言語・文学・口承文学の研究、日常生活、伝統建築を中心に西蔵文化の発展を力強く促している。寺院を含む文化施設多数も修繕・再建されている。
中国にはチベット語で出版された書籍・新聞・雑誌が大量にある。チベット語の出版社も多く、これは西蔵だけでなく隣接する省、そして北京にすらある。チベット語の出版物は数が多く、西側のチベット学者も目を通しきれないほどだ。西蔵の作家はチベット語と中国語で作品を書いている。チベットの書籍だけでなく、チベット語に訳された外国の名著すら買うことができる。拉薩(ラサ)には伝統チベット医学の研究所もある。
中国政府が西蔵で大規模な移民・同化政策を進めているとの西側メディアの報道は事実と異なる。私が実地調査を行ったのは1つの県だが、そこではチベット族5〜6万人に対し、漢族は2〜30人しかいなかった。全体的に見ると、西蔵での漢族の常住人口は西蔵全体の7%であり、90%以上はチベット人だ。漢人の大量移民が西蔵を同化させるなど全くあたらない。
青海省、甘粛省、四川省、雲南省の蔵(チベット)区は数百年来多民族・他文化地区であり、チベット人は数百年にわたり漢族・回族・蒙古族・チャン族、その他の少数民族と睦まじく共存してきた。ところが現在亡命チベット人は、反「同化」あるいは反「漢化」の名目でこうした地域において文化的・政治的主導地位を獲得しようとしており、これは当該地区に生活する他の民族にとっても不公平だ。
西蔵は他の地域と比べ、経済発展や教育を中心にまだ多くの面で立ち後れている。これには歴史的・地理的な原因がある。1950年以前、西蔵には寺院教育以外には全く学校も病院もなかった。すべてがゼロから始められたと言っていい。どうであれ、西蔵人の平均寿命は1950年代前半の35歳前後から現在は67歳にまで伸びたのだ。
チベット人の圧倒的多数を占めていた人々が農奴制から解放されたことも大きな進歩だ。大多数のチベット人の暮らし向きは50年前と比べずっと良くなった。当然、かつての貴族は権勢を失い、思いのままに搾取することは二度とできなくなった。遺憾なのは、西側メディアはほとんどこうした上層貴族の代表の話ばかりに耳を傾け、一般市民の話を聞きに行かないことだ。彼らには全く違う心の声があるはずだ。
(中国の民族政策について)中国の少数民族政策は実際、相当手厚いものだ。中国のすべての少数民族が特別な優遇を受けていることを証明する多くの例を挙げることができる。たとえば西蔵人は原則的に2人の子供を産むことができるが、漢族には一人っ子政策が実施されている。農牧区のチベット人は3人の子供を産むことができる。もっと多い地方もある。最新の国勢調査の結果は、過去20〜30年間、チベット族の人口増加率が漢族を明らかに上回っていたことを示している。(編集NA)
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