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ひと:香川元太郎さん=「迷路絵本」が50万部突破、イラストレーター

 ◇香川元太郎(かがわ・げんたろう)さん(48)

 ページを開くと、マヤ文明の神殿や戦国時代の山城、恐竜うごめくジュラ紀の原生林が広がる。そこに織り込まれた迷路と隠し絵。発見の楽しさが人気を呼び、シリーズ4作(PHP研究所)が今月、計50万部を突破した。

 迷路好きの少年だった。体感するのも好き。狭い路地に体を滑り込ませると「どこに出るかな」と胸が高鳴った。父親がかまぼこ板で作った積み木で、中1まで立体迷路を作り遊んだ。

 しかし、高校では「落ちこぼれ」。消去法で選んだ進学先が美大だった。日本画を学び、宝塚の舞台背景を描いて生計を立てながら公募展で入選も果たした。結婚を機に安定した収入を求めてイラストレーターに。まもなく舞い込んだ城址(じょうし)公園(茨城県)の完成予想図の仕事が運命的だった。

 実は子どものころから城マニア。隠し部屋など敵を欺く構造が迷路のようで大好きだった。自ら訪ね歩き、資料を集めてきた。歴史考証十分な城が描けた。歴史家の目にとまり、歴史雑誌の仕事が相次ぎ、迷路絵本の出版につながった。

 好きなことに身を投じるうちに開けた道。「子どもの本は楽しいのが一番。繰り返し開いているうちに自然と学ぶもの」と、恐竜や動物の隠し絵を潜ませてはほくそ笑む。絵本が「知の迷路」への入り口になることを願って。<文と写真・望月麻紀>

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 ■人物略歴

 愛媛県出身。武蔵野美大院修了。日本画家として切手の原画も手がける。家族は妻と1男1女。

毎日新聞 2008年3月29日 東京朝刊

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